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DIY、真・就職活動
職業勇者 前篇
しおりを挟む「【勇者】か……全然様にならない」
就いてはみたものの、よくそう感じる。
だが『SEBAS』曰く、【勇者】は非常に便利な職業なんだそうで。
《【勇者】の職業スキル(勇者ノ卵)は、初期から攻撃・防御・移動の能力を行使可能ですので、その解析を行いたかったのです。旦那様の周りには、【勇者】に就いている者は居りませんでしたので》
「それもそうだな……最初からそういうのが付いている点も、羨まけしからんチートってことか。その分、就くための前提条件が厳しいことも含めて」
卵、とスキル名にあるように、【勇者】はさらに成長するらしい。
すると、今使える能力も一部性能に変化が生じるらしく……『SEBAS』はそれを調べたいんだとか。
《現在の『光迅』シリーズは、【勇者】の威光を知らしめるために登録されているものと思われます。ですが、一部の者は最初から異なる『迅』シリーズを所持していたと記録されていました》
「……まあ、最初から全員が光しか使えないのも問題なんだろう? 俺の予想だと、高い適性がある属性なんかがあればそれに成ると思うんだが……どうだ?」
《ご明察です。旦那様の仰る通り、伝承には高い闇属性の適性を持った【勇者】が、瞬時に【闇勇者】となったことで追放されたというものがございました》
「……凄い創作物感が溢れる伝承だな」
特に追放、という辺りが。
まあそんな先輩の話はあとでじっくり聞かせてもらうとして、今は別の話題だ。
「【勇者】ってことは、やっぱり戦闘系しかないのか?」
《いいえ。あらゆることに関して【勇者】、そして【英雄】や【魔王】が存在しているようです。闇同様に、後ろ暗い暗殺を名乗った【勇者】も居たようですので》
「【暗殺勇者】ってことか……それもそれで面白そうだな」
《そして、旦那様もその派生先をすでに発現されております。“職業系統樹”にて、確認できました》
ちなみに、“職業系統樹”においてなぜか【勇者】はそれ単体の系統樹を築いている。
俺も確認してみたが、たしかに【勇者】は異なる成長を遂げていた。
「【生産勇者】か……まあ、発現条件がすぐに分かりそうな職業名だな」
《お察しの通り、一定数の生産職をカンストさせたうえで、その合計レベルが一定量を超えたことで発現したようです》
「今は……まだいいか。【勇者】のレベルがまだカンストしていないのに発現するってことは、上位版じゃなくて派生なんだろうし。まずはカンストして、それから何があるかを調べてみよう」
《畏まりました》
そんなこんなで、俺の【勇者】ライフが始まるのだった。
……具体的にやることなんて、特にないわけだけど。
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