虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、紡がれる関係性

VS死徒 中篇

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 レベル250、そして膨大な数で襲ってくるとされる死徒。
 今はまだ一体しかいないが……それは、俺が弱いと判断されているからだ。

「起動──『墜落死』」

 ミニスコップに作り変えられた『死天』特製のアイテム。
 その本質は、当てた対象に死の概念を直接付与すること。

『……!?』

 天使は空を舞う存在……にも関わらず、突如死徒は地へ狂ったように墜ちていく。
 ミニスコップを当てられたことで、死徒は墜落死という運命を強制的に差し込まれた。

「まずは……一体」

 地面にグチャッとなった死徒の体は光へ還元され、俺の糧となる。
 ステータスがどうなった見てみたいが……それよりも先に、次の相手が出現する。

「今度は三体か。油断できないな」

 そういって取りだすのは、槍と円盤。
 それぞれ順番に投げると、刻まれた死の概念の名を告げる。

「──『貫通死』、『圧殺』」

 槍を向けられた一体は、そのまま体に槍が突き刺さって死ぬ。
 防御力云々ではない、刺さったら死ぬという因果が生まれていた。

 円盤を投げられた一体は、先ほど同様に空から地へ墜ちてくる。
 ただ、先ほどと違うのは動きが鈍重になっている点……つまり重力で殺している点だ。

 残った一体はそれでもこちらへ現れ、俺を殺すために手刀で首を刎ねてくる。
 ポーンと飛ぶ俺の首、視界はブラックアウトし……再び元の状態へ回帰した。

「これ……グロ確定だろ──『凍死』」

 氷晶型のアイテムを直接肌に当てると、死徒の体は一気に凍り付く。
 たとえどれだけ強かろうと、死ぬ相手ならば通用するのが『死天』のアイテムだ。

「なお、『乱射の雨矢』が効かなかったのは劣化品だったため。純正品の方を使ったら、普通に刺さっていたと思うぞ……次は十体なのか。いきなり増やしてきたな」

 一から三、三から十へ。
 それが俺への評価……まだ足りない。

 無限湧きと評される死徒が、俺をそこまで軽く見積もっているのは……少々腹が立つ。

 たしかに今は『死天』と『生者』の力しか使っていないが、それでも意地というモノが俺の中で燻っていた。

「──【刀王】、『斬首の死刀』」

 かつて【刀王】から拝借した能力を使い、生成した刀の扱いを理解する。
 あらゆる刀への適性、それは力を最大限まで振るえるということでもあった。

「──『居合』」

 体を包む結界が、肉体をありえない挙動で操り死徒の下へ向かわせる。

 人体の限界を超えた動きに反応が遅れた死徒、それでも隊列を整えこちらを殺そうとする……が、時すでに遅し。

 今回使った『斬首の死刀』。
 その能力は対象の首を刈り取るための最適な動き、そして補正を行うというもの。

 高まった速度で死徒たちとすれ違い、地面へ落下する中刀を鞘へ納める。

 ──途端、すべての死徒たちから首が落ちるのであった。

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