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DIY、再び革命へ
央州戦線 その10
しおりを挟む「……本当にいいのかい?」
「何がでしょうか?」
「『生者』君が、このまま何も言わないで去ることがだよ。最後まで居れば、きっと君への報酬だってあったはずだよ?」
「それはお互い様ですよ、『宣教師』さん。こうしてこの場に居るのですから」
俺と『宣教師』は街を出ていた。
最低限のこと──五州の条約締結を見守ること──を済ませ、すぐに転位したのだ。
しかし『宣教師』も、どうやら特殊な移動手段を持っていたらしい。
こうして再会し、お互いによかったのかと訊ね合う。
「僕は君からこれが貰えたから、他はもうどうでもいいかなーってね。僕は教えることは好きだけど、あんまり対価は貰っていないんだよ。あくまで生活に必要な分だけ……無駄な贅は好きじゃないんだ」
「そうでしたか……私も同じです。家族の知らない間に、贅沢をするのもなんだか……裏切りを行っているように思えまして」
「へぇ、君の家族かぁー。さぞかし面白い人たちなんだろうね」
「ええ、まあ。自慢の家族ですので」
細かい情報は伝えておかない。
悪い相手ではないのだが、『超越者』というのはやはりどこかしらが異常だからこそ、『超越者』足りえている部分がある。
信頼はできる、けど信用はできない……みたいな感じだ。
表裏がある『騎士王』だってそう、初代から継承してきた使命があるはずだ。
「これから『生者』君はどうするんだい?」
「そうですねぇ……一度西の大陸に戻って、のんびりとしますよ。これだけのことがあったわけですし、一日中まったりとする……そういう日があってもいいと思います」
「そりゃあいいね、僕もゆっくりとバカンスにでも行ってみようかな」
「そのときはぜひ、こちらへご連絡を。連絡が付けば、お求めのアイテムの納品などを行いますよ」
鈴代わりに連絡用の魔道具を渡しておく。
それは【奴隷王】に渡した物と異なり、いちおうは携帯電話みたいな形をしている。
ちなみにこれ、とりあえずオペレーターとしてAIが先に出てくれる。
回線を繋いでくれるので、その実験として『宣教師』に使わせてみるわけだ。
他の知っている『超越者』にも配り始めているので、ごく稀に電話が来るんだよな。
「ありがとう、大切に使わせてもらうね」
「壊れづらい素材にしてありますので、胸の辺りに仕込んでいただければ命を守る防具代わりにもなりますよ」
「あはっ、そういうこともできるんだ。ならあとで入れさせてもらうね」
「……ああ、あといくつかご説明することがございまして」
電話と言っても現代の物は多機能付き。
俺もまた、通話機能だけでなく他の機能を登載してある。
ちゃんとそれについて説明し、『宣教師』と別れるのだった。
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