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DIY、再び革命へ

央州戦線 その09

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 そして迎えた反撃の日。
 刻限は草木も眠る丑三つ時……などではなく、お天道様が見守る真昼間。

 その始まりを告げるのは、空高く打ち上げられた一発の花火だった。

「な、何事だ!」

「謀叛です、謀叛が起きました!」

「なんだと!?」

 央五州の城、そこに住まう将軍もまたその花火に気づき高柵へ向かった。
 昼間に咲いた炎の星、花のように火が散るのと同時にけたたましい雄叫びが上がる。

「将軍様、数はおよそ千! 全員が鎧兜を纏いこちらへ向かっております!」

「そんなバカな! すでにこの街は世の支配下にあるはず! ええい、それを貸せ!」

 遠視の魔道具を使っていた兵士から奪ったそれを使い、城下の様子を確認する将軍。
 そこには勇ましい強者たちが、いっせいに城へ来る姿が映しだされる。

「くっ、こうなったら──止まれ! 止まるのだバカ者どもがぁぁ!!」

 自身の能力を全開にした洗脳。
 これによって、謀叛を一瞬で片付けようとする……が、しかし。

「と、止まれ! 止まれと言っておる! なぜだ、なぜ誰も言うことを聞かぬ!」

「将軍様、奴らはもしや耳を塞ぎお声を拝聴せぬようにしているのでは?」

「その程度で防げるわけなかろう! 世の声は聴かずとも届く!」

 ツクル(『SEBAS』)が暴いた通り、【征意将軍】の能力は声という媒介ではなくその振動を用いて効果を発揮する。

 それは戦場において、声が届かなくなる最前線の者たちにも己の意思を伝える──将軍全般に通用する仕組みだ。

 防ぐ手段は存在しない、結界に囲まれた央五州内ではそのはずだった……しかし実際、彼らは将軍の声を意にも介さず城への吶喊を行っている。

「なぜじゃ、なぜなんじゃーーー!」

 将軍の絶叫は、城門が破壊されるのとほぼ同時だった。

  ◆   □   ◆   □   ◆

「これにて一件落着か? あとは逃げた所を待機している他の州の皆さまにお任せ……って感じか。『SEBAS』、お前のお蔭ですぐに対策が作れた。ありがとうな」

《お褒めいただき光栄でございます》

「これだけ強く能力を使ってくれると、解析も上手くいくってもんだ。【将軍】系職業の発声術、これをスピーカーに組み込めればかなり儲かるぞ」

 花火を打ち上げたところで、俺のやるべきことは終わった。
 あとは彼らが将軍を捕縛するところを、観戦気分で拝むだけだ。

「そしてその後は新政府の樹立、そして他の州との停戦条約が結ばれるのかな? 迷宮化までやった以上、その罪はずいぶんと重くなるんだろうな……」

《どうなさいますか?》

「それそのものに『宣教師』は関わっていないみたいだけど、神様云々は気になる。加護はスキルを持たない俺でも手に入れられる数少ないシステムだ、ぜひとも欲しい」

 偽善をするわけではないが、それもすべて自分のためなので悪いことではないだろう。
 できるだけ、自分たちのことはその者たちに任せる……このスタンスは変えないぞ。

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感想 16

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