860 / 2,827
DIY、再び革命へ
五州戦線 その04
しおりを挟む「『宣教師』、か……」
戦場から去る俺は、ボソリと呟く。
ハセから訊きだしたその名は、おそらく職業ではなく称号……『超越者』としての名前だろう。
なぜなら、かつて貰った『超越者』の住所不定者欄にその名が載っていたからだ。
「頭部が残念なわけでもないだろうが、特徴に関する情報をいっさい持っていないというのはおかしいよな……何かしらの隠蔽技術があるって考えて間違いないか」
《倭島に潜伏しているとされる、『隠者』であれば可能かと。しかし、『宣教師』が彼の者の力を借りる必要もなく、おそらくは単独での行動でしょう》
「あー、すっかり忘れてたなー。『陰陽師』と【刀王】のイメージが濃いからな。他を覚えておく必要性を感じていなかった」
いろいろとやっている、そんな印象を残している二人の強者。
互いに接点があるかは知らないが、会ってもロクなことにならない気がする。
「『隠者』がどこにいるか、それは権能のせいで皆目見当もつかないんだから後回しにしよう。たしか、『宣教師』はこの五州を渡って技術提供をしているんだったな?」
《はい。ドローンを飛ばし、すぐ『超越者』の波動を捜索し始めました。しかし、今のところそれらしき反応はございません》
「そうか……探し始めたばっかりだ。焦らずとも、『超越者』なら必ず見つかるだろう。ゆっくり丁寧にやっていこう」
《畏まりました》
さて、会話に出た五州について話そう。
この世界だと、九州は大きく分けて五つの派閥によって支配されているらしい。
東西南北、そして中央。
自派閥同士で争い、高みを目指しながら他派閥を打ち倒しより多くの領土を勝ち得る。
それを何度も繰り返す戦国時代……五州とはそんな感じのエリアなんだとか。
赤軍と青軍に分かれて行われていた戦も、同派閥によるものだった。
なので邪魔はせずとも、問題はなかったみたいだ……むしろ俺を倒そうとしただろう。
「北州……つまりここだと、魔法を教えて今回はその実地訓練だったみたいだな。邪魔して悪いことをしたみたいだったし、いくつかポーションを置いておいたから、それで勘弁してもらおう」
《旦那様、どちらへ向かわれますか?》
「同じ場所に居ると、要らぬ企みだと感がられるかもしれないしな。とりあえず、全州を巡るぐらいの勢いで『宣教師』の反応が無いか探っていこう。居なかったら観光と転位座標の登録だけして、次に行くってことで」
《承知しました》
細かいことを考えてもあれなので、要するに──楽しんでいこう、そういう考えてやっていくことにする。
……州の数は違っても、気候などは九州と変わらないらしいし。
もしかしたら、いい食べ物に巡り合うかもしれないな。
11
お気に入りに追加
647
あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる