虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
836 / 2,812
DIY、就職活動へ

仮想戦闘 後篇

しおりを挟む


「無理無理無理無理無理!」

《再現率20%でしたが……やはり、と言うべきでしょうか》

「さすがだな、おい。それだけでもここまでの実力なのか──『騎士王』は」

 戦闘データは一度目の来訪、そして二度目の来訪である程度集めてある。
 特に二度目は魔族と魔物相手との闘いだったので、それなりに力を振るっていた。

 だがそれでも本気ではなく、『騎士王』はまだまだ余裕を保っていたんだとか。
 そんな戦闘データなので、あくまで完全体ではないのだ。

「しかもこいつ、まだ魔術まで使えるし……あと聖鑓も」

 いろいろとチートすぎる『騎士王』。
 レベルの上では俺の方が上だが、能力値というか才覚の差が天と地の違いなのだ。

 振るっているのも聖剣だけ、俺がプレゼントした聖鑓を使った情報など渡した時の試し振りぐらい……それでも、先ほどまで闘っていた休人を模した人形を倒せるようだが。

「やっぱり相手が格上すぎる。ラスボスっていうか、それを超えた存在だからな……全休人で挑んでも勝てるか分からないし」

 数の力は偉大だが、それすらも圧倒できるのがこの世界に住まう人々だ。

 その中でも最上位の一人『騎士王』、万能の権能を自在に扱う彼女は一騎当千以上に凄まじい力を有している。

「【魔王】は……もっと戦闘データが少ないよな。『SEBAS』、再現できたとしてどれくらいだ?」

《およそ10%かと。同様に、この状態で休人と闘わせた場合は圧勝となります》

 もう一人の最強──【魔王】。
 俺とは異なる形で複数の職業の力を操り、さらに種族も書き換えることができる。

 そして何より、歴代【魔王】の能力も振るえるので……まさに歴史が生んだ化け物だ。

「まあ、もう一度だけやってみるか──再起動してくれ」

《畏まりました。擬似『騎士王』を再起動、戦闘を開始します》

 再び起動した人形だが、その手にいちおうとはいえ聖剣を持たしているためか存在感が休人を再現した時とは段違いである。

「制限なんて不要だ──『闘仙』を再現、細胞は『拳王』と『闘仙』を半々で」

《仰せのままに》

 仙丹の充填速度が高められ、物理攻撃貫通と連撃時の威力向上が発現する。
 集められた仙丹を脚に籠め、推進力として使って人形へ近づき──ジャブを一発。

「うわぁ……まったく効かない」

 ここでまず一度死亡。
 完全に動きを読み切られ、スッと添えられた剣をなぞりそのまま死ぬ。

「こんなのの連続だからな。これでまだ20とか……無理ゲーだろ」

 無理ゲーだと興奮するとか、そう言うヤツではないからな。
 今回はここまでにして──もうカンストしてしまった【騎士】を別の職業にしよう。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...