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DIY、就職活動へ
隷属職業 後篇
しおりを挟む「では、まずこれを付けてもらおう」
「これは……隷属の首輪ですか」
「うむ。隷属せねば、【奴隷】になどならぬし拘束されねば【虜囚】になどならぬじゃろう? 首輪を嵌めればどちらも解決じゃ」
「……えっと、自前の物で構いませんか?」
そういって、少々前に作製した隷属術式を刻んだアクセサリーを取りだす。
指輪型の隷属アイテムなのだが、目立たないのが実にイイ。
「…………のぅ、『生者』よ」
「ええ、次に来た際のお土産にしましょう。女性でも喜ぶデザインにしておきますので」
「う、うむ、分かっているならよい。では、さっそく職業を変更しよう」
まあ、最高レベルの隷属を行える隷属アイテムを生みだせる【奴隷王】なので、自分で用意できるかもしれないけど。
俺が作る利点は隷属以外のオプションが付けられるところ、そこら辺に女性が喜ぶ機能とやらを付けておくとしよう。
「ではまず──“奴隷化”。これで【奴隷】となったはずじゃ」
「……なってはいませんが、【奴隷】に就けるようになりました」
「…………規格外じゃな。妾の隷属能力に抵抗できる者などそうはいないぞ」
「『騎士王』など、どうでしょう?」
その瞬間、ビクッと震える【奴隷王】。
なんとなく事情が分かる気もするが、ここはあえて見なかったことにしよう。
「で、では次に行くぞ──“虜囚化”。これで【虜囚】となったはずじゃ」
「……はい、そちらも確認できました。本当にありがとうございます、お蔭で新たな職業に就くことができます」
「うむ、やはりこうもあっさり解決されるのも……なんだか心苦しいのぅ」
「なんだか申し訳ありません。こればかりは私の完全なわがままですので、お詫びもまたしっかりと用意いたしましょう」
確認ついでに“職業系統樹”を調べてみたのだが、【奴隷】と【虜囚】は異なる系統樹に属しているようだ。
完全な隷属と捕虜の身分では、少し扱いに差が生じるのかもしれない。
ちなみに、他の系統樹……生産全般やこれまで就いた職業の系統樹に変化はなかった。
レベルの問題もあるかもしれないが、ほぼ関係ないだろう……といちおう思っている。
心当たりで言えば『剣闘士』ぐらいだ。
だがそれなら隷属以外の条件も必要だろうし、あとは……人生逆転を狙った賭け士ぐらいしかないな。
「ちなみに【奴隷王】様、他に他者を強制的に異なる職業に就かせる能力の持ち主をご存じありませんか?」
「……そうじゃな、職業としてだけでなく身分として王の地位にある者は、皆揃って権限の授与ができる。その中には職業を書き換えるモノもある……と言っていた者がおった」
「身分ですか……ありがとうございます。参考にさせていただきますので」
「うむ、またの来訪を待っているぞ」
とりあえず、良いデザインを考えておかないと……そんなことを考えつつ、転移で雑居ビルを後にするのだった。
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