798 / 2,817
DIY、就職活動へ
転移技術 前篇
しおりを挟むアイプスル
「転移の精度もずいぶんと上がったな」
ファンタジーの定番たる瞬間移動。
これまでは座標を予め設定しておく──転位か、短距離の転移しかできなかった。
だが、今回の可変式転移魔法陣を解析した結果……長距離であろうと、完全な転移をできるようになったのだ。
「ちなみにだが、遠距離の転移はどうやってイメージすればいい?」
《同世界内であれば、念じるだけで移動可能です。ただし、一度行った場所か視界内で無ければ補正が働かず転移できません》
「……ルゥラみたいな制限はしっかり残っているな。まあ、別に知らない場所へ行く予定はないから別にいいんだけど」
そもそも、転位装置を用意して移動……という手間が省けるだけで、それ以外の変化は魔石の消費量ぐらいだ。
人工魔石を使えばそれも解決できる俺からすれば、十個や二十個使う数が変わろうと、楽かどうかで使用するかを選べる。
「それじゃあ、さっそく試してみるか」
《どちらへ向かわれますか?》
「うーん……そろそろ納品に行っておきたいし、とりあえずあそこだな」
イメージするだけで移動が可能なら、わざわざ手順を踏まずとも良いだろう。
ただし、行き過ぎると犯罪になるので……とりあえず、入り口だな。
「それじゃあ、転──」
◆ □ ◆ □ ◆
冒険世界
「──移! ……あっ、着いた」
目の前にドーンと建っているのは、俺がこちらの世界へ向かう際に強くイメージした場所──生産ギルドである。
「声を出していたし、中でやったら間違いなく不審な目で見られていたんだろうな……念のため外でやって正解だった」
ちなみに、『SEBAS』によると自動回避システム搭載らしい。
過去、転移で死亡事故があったらしく、魔法陣も最初からそれを防止できるように回避の術式が刻まれているんだとか。
……逆に言えば、その防止システムを解除すれば立派な攻撃にできそうだな。
なんてことを考えつつも、平然とした顔に整えてからギルドの中へ入る。
「すみません、納品ですが……」
「いつもお疲れ様です。こちらへ」
「はい──少し遅れていた分と、早期の納入分として三十六ダースです」
休人は便利な[インベントリ]を持っているので、どれだけ持ち込んでもまったく違和感を持たれない。
三十六ダース──つまり四百三十二本ものポーションをギルドへ提出すると、こくりと頷いた受付嬢はそれを魔法陣へ乗せる。
「依頼完了です。しかし、あまり遅れないようにしてくださいね」
「ははっ、申し訳ありません。ああ、それでですが何か普通の依頼を──」
「ギルド長がお呼びです。ツクル様、すぐにそちらへ向かってください」
「……はい」
俺が『依頼』という単語を出すと、どの受付嬢も冷たくなる……そういう反応をされるくらい、何度も言っていたからだよな。
11
お気に入りに追加
646
あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【完結】聖女ディアの処刑
大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。
枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。
「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」
聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。
そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。
ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが――
※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・)
※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・)
★追記
※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。
※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。
※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる