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DIY、流れて交わる

幽体の問題 その11

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 交渉結果を説明する必要は無いだろう。
 俺は与えられた契約を実行するために、再び戦場へ降り立った。

「ご苦労、待機状態から戦闘状態へ移行。特殊兵装は生け捕りを必須条件とする」

『畏まりました』

 まだ魂を組み込むシステムは確立していないので、あくまでAIレベルでの対応だ。

 ただ『SEBAS』が組み込むプログラムが、自身の積んだ経験を基に作り上げたものだからか……物凄く人間臭い。

 個々にそれぞれアクションの差があるところなど、実に上手くできている。
 いずれ何かしらの条件を満たせば、彼らは独自に魂を得るかもしれないな。

「拡声器をここに」

『……こちらです』

「うむ、ごくろう」

 ポケットから出せばいいのだが、そんな自立を期待してなんとなく要望する。
 ……まあ、正直そうなっても俺には見分けが付かないのだが。

 受け取った拡声器を握り締め、とある方向へ向けて声を出す。
 すると当然ながら、俺の声は増幅されて彼らの下へ届けられる。


「──初めまして、冒険世界より交渉をしにこちらへやって来ました使者でございます。今回私は【幽王】様との盟約を交わすため、貴方がたを鎮圧させていただきます!」


 音が伝わるのは一秒で三百六十メートル。
 なので俺のメッセージが伝わるまでに数秒掛かり……苦情が届くまでにまた同じくらいの時間が掛かった。

 やれふざけんな、やれ死んじまえだのと酷いことを言ってくる……うん、お望み通り死に続けていることは内緒にしておこう。

「静かにしてください……というのは野暮ですね。降伏する方は、人形の傍へ集まってください。これより一時間、皆さまの選択をお待ちいたします。動かないのであれば……実力行使となりますのでご注意を」

 再び飛んでくる罵詈雑言。
 だが、そのすべてを一蹴して待機する。
 別に逃げてきてほしいと思っているわけではないが……来てくれた方が助かると思う。

 これは、警告ではなく宣告。
 あくまで決定事項を告げただけなので、彼らがどういった選択をしようと処理する対象の数に変動が生じるだけなのだ。

「うわ、我ながらずいぶんとあくどいことを考えているものだな」

 殺す気はない、この言葉は免罪符たりえないことなど百も承知である。
 それ以外のことであれば何をしても良いという考えは、犯罪者と同じ思考ではないか。

「反省反省……けどそれとは別に、実行はするけどな。タイマーを起動、先ほどの忠告から十五分前、十分前、五分前になったらそれぞれ俺に伝えてくれ」

『承知しました』

 一体ぐらい来てくれれば、事情が分かるかもしれない……けれど、俺だからなぁ。

 ──ほぼ確実に、誰も来ないだろう。

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