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DIY、流れて交わる
幽体の問題 その08
しおりを挟む現在位置は『N40』ではあるが、だからといってとんでもなく凶悪な幽魔が出てくるわけではない。
あくまで生息地ごとに個体のレベルに差があるだけで、決して遠ければ遠いほど強いということでもないのだ。
「──けど、俺にとっては強いんだよな。この世界でもライフは1だし」
先ほどの話とは真逆になるが、扉を阻むようにわりと強い幽魔が出ていたらしい。
……らしい、という推測っぽい言い方なのは、俺が接触していないからだ。
そのような雑事、優秀な『SEBAS』に掛かればお手の物。
人形たちを巧みに操り、あっさりと討伐した……さすがは『統天』代理。
「今回の依頼は迅速に行いたいからな。捜索もスピーディーに行おう」
《旦那様、その件について少しお話が》
「ん? まさか、この世界にも【魔王】っぽいのが居るとかか? いやいや、さすがにあのチートスペックな奴を相手にこの世界を簒奪するとかは不可能だぞ?」
《前半は旦那様の予想通りです。ですが、後半は違います──会談を求めております》
──階段? 怪談? 会談……会談か!
あまりに訊き慣れない単語だったから、つい忘れてしまっていた。
そもそもな話、相手側にそれをする必要があるかと訊かれると……否だよな。
すでに世界の半分を掌握しているのだ。
わざわざもう半分まで取り込まずとも、それこそ勇者っぽいヤツにくれてやろうと考えているかもしれない。
「会談、会談ねぇ……別に幽魔を滅ぼすのは指示に無かったよな、そういえば。少し思考がやりすぎな方向に行ってたかな?」
反省、反省っと。
あくまで俺に与えられた指示は、ガイドたちの知り合いを見つけだすことだった。
わざわざそれ以上のことをせずとも、目的は果たせるわけで……。
それを言うなら、そうする理由も消すことができるけどさ。
その気になって、この世界すべてを支配する気になれば……だけれど。
「それで、幽魔の王……はいったいどういう目的で会談を求めているんだ?」
《ドローン部隊がそこへ向かったとき、幽魔同士で争いが起きていました。そして、劣勢側が彼らでした》
「ふむふむ、もう一方の勢力は正常な個体として反逆していたのか?」
《はい。彼らは幽魔の王──【幽王】の座を簒奪するため、謀叛を起こしたようです》
シンプルな職業名なのはともかく、そこを『SEBAS』に救われて考えを持ったというわけだな……【魔王】と同格のスペックはどうやら持っていないようだ。
──あの人、たぶん単独で全魔族を相手にしても勝てそうだしな。
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