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DIY、流れて交わる
霊体の問題 その04
しおりを挟む装置ははるか果て、四十区画先にあるとのこと……和島とか、『騎士王』の領域とかそういった場所と同じくらいの距離だな。
しかしあれって、両方とも転移で運ばれて向かったため、実際にそんな場所まで行かなければいけないのは初めてである。
「いくら座標間転位がお安いと言っても、まずはドローンが向かわないとダメだし……」
暗躍街で得た転移技術も、それを使うためのドローンが派遣された場所で無ければ実行できない。
火の無い場所に煙が立たないように、触媒が無ければ行使できないのだ。
「──よし、完成だな」
なので待ち時間は暇だった。
せっかくなので、エンキのために玩具を作ることで時間を潰しているのが現状である。
どの動物としての遊びが気に入るのか分からないので、猫じゃらしやフリスビーはもちろんのこと、それ以外にも多種多様な玩具を取り揃えていると思う。
「『SEBAS』、これをアイプスルに転送しておいてくれ」
《畏まりました。それと、一つご報告したいことがございます》
「……ん? もう見つかったのか」
《いえ、いくつかのドローンに攻撃を行う存在が。幽魔以外にもです》
どうやらこっちの世界の魔物とは、すでに接触しているようだ。
その違いを分かっている時点で、それは間違いないだろう。
だが、今回はそれではなく別の存在……つまりガイドのような存在ということか。
《仮称霊体である彼らは、機械であることには気づいておりました。どうやら過去のレムリアには機械技術を持つ世界との外交もあったようです》
「そりゃあいいな。いずれはそういう場所にも行きたいものだし……『機械皇』を誘ったら、そのまま帰ってこなくなるか?」
今も行っている世界間外交だが──アイプスルと冒険世界、それにイベント用の世界を結んでいるだけで他とは結び付きがない。
あれだけギルド長に危険だと言われている生産世界も、俺には渡航許可が下りていないので向かえないほどだ。
「それで、そのドローンは?」
《攻撃は行われましたが、すぐに結界を構築することで防げました。その後機械を知る者によって中止されると、彼らは引き揚げたため現在追跡中です》
「仕事が早くて本当に楽だ……いつもいつも感謝しているよ、『SEBAS』」
《お褒めに与り光栄でございます》
相手がどうやって索敵を行っているか分からない以上、隠密行動も手探りでやっていくしかない……追跡ができているのだから、ある程度予想は付くが。
しかしそれを実行できる、機械越しという制限付きの中でだ。
いろいろとおかしい気もするが……まあ、さすが『SEBAS』ということで。
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