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DIY、流れて交わる
アリバイ作り その13
しおりを挟むさすがに姿を晒してはくれなかったが、対話の意思はあるようだった。
目の前に座る一体の人形は、その証拠なのだろう。
「オリジナルの体は……動かせますか?」
「いいや、だからこそのこの姿だ。改めて、私が『機械皇』だ」
「こちらこそ。『生者』と申します」
ただ無機質な人形ではなく、ある程度人の器官を再現していた。
人工合法ロリ、とかそういうジャンルに属するのだろうか?
「……不愉快な気分になったな、もしや君の仕業か?」
「その器、これまでの機械人形とは少し用途が異なるようですね。そのことについて、少し考えていました」
「これは君にぶつけた戦闘型ではなく、活動用の偽装型だ。戦闘能力では劣るものの、限りなく普人の姿と動きを再現している」
「それで魔力を内部で生成せず、体外から取り込むだけにしているのですか」
銀花──『機械皇』が俺に寄越した機体を調べたのだが、内部に魔力を増幅する炉のような物が入っていた。
どんな環境でも戦えるようにするための機構なんだろうが……それでバレてしまう。
だが、現在『機械皇』が使っている機体からはその反応が無い。
逆に人族が体内で循環させる魔力、その流れを擬似的に再現しているのか、それに酷似した反応を感じた。
「──そろそろ本題に移ろうか。君の言う可能性、それを教えてもらいたい」
「記憶のスキル化についてですね……分かりました、お伝えしましょう」
しかし、いきなりそれを言うのでは混乱してしまうだろう。
なのでまずは、それを思いついた理由から説明し始める。
「スキルの中には、自身が持たない知識をどこからか引き出すものがあります。たとえば生産スキル、条件を満たしたアイテムの作成法が分かりますね」
「そうだな」
「武術にも、武人の動きを再現する機能がございます。そしてこれらは、世界によって記録された情報の一部を引き出している……ここまでは知っていますよね?」
「多くの者は、神々の手柄だと考えているらしいがな。だが、それと記憶にどういった関係がある」
たぶん、もう分かっているのだろう。
世界が集めた情報は正確だが、それを引き出すためには条件を満たす必要がある。
それでは優れた才を持つ者だけしか、世界の真理を知ることができない。
「スキルが引き出す情報を、世界からではなく個人の記憶からにしたいのです。これならば、魂の有無を問われ情報を引き出せない意思無き者であろうと、内部にある記憶から必要な情報を引き出すだけでよくなります」
「だが、スキルを持たないモノはスキルを得る素地が無い。それはどうする」
「……そもそも、本当にスキルは無いのですか? たとえば魔剣や神器、あれらには特殊な能力が宿っています。それらを応用し、後天的にスキルを付与できれば……可能かもしれません」
もう少し、話をしないと分かってもらえそうにないな。
俺の目的のためにも、プレゼンを社会人らしくしようじゃないか。
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