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DIY、流れて交わる
アリバイ作り その09
しおりを挟む改めて、客間のような場所で『錬金王』たちと話を行う。
少し前に訪れた仙人たちの郷同様、この場所に求めるモノは──
「錬金術の可能性、か……」
「そうです。私たちの世界では、錬金術を攻撃に転じて戦う物語もございまして。そのすべてが本来の錬金術で行えるかどうかは分かりませんが、一度『錬金王』さんたちに相談してみたかったのです」
「それで、これがそのリストか……ほう、ずいぶんと過激なことを考える者が居るみたいだな、『生者』たちの世界には」
「少なくとも私たちの世代において、錬金術は過去の遺失技術とされていまして。すべては想像の産物でしかないのです」
もしかしたら、現代においてもできるヤツがいるかもしれないが……少なくとも創作物みたいな派手な演出が起こせるヤツは不可能なので、無いモノとして扱おう。
「ちなみに、これは私がそういったアイデアから発想を得て作成した物です。インスタントシールというアイテムで、地面を錬成することで鋭い棘で相手を貫きます」
「……ずいぶんと荒いな」
「まだ『錬金王』さんたちに会う前の段階で試作したものでして、錬金術に関する知識はすべて独学だったのです」
「なるほど、道理で工夫も何もされていな術式だったわけだ。これ、魔道具に使われるような術式を転写しただけだろう」
その通りである。
俺の知識は『魔道具適正0(笑)』から引き出していたもので、それ以外の情報は当時あまり持っていなかった。
貢献イベントで出会った種族や仙人たちから、それぞれの種族が扱う技術を学んだものの……魔法陣そのものに関する知識は、まだ得ていなかったのだ。
「今の『生者』であれば、もう少しマシな術式が刻めるであろう?」
「ええ、まあ……魔道具という形であれば、このような感じで作成してあります。効果は結界構築、多重展開のものです」
「これは……エルフの多重術式に、ドワーフの刻印か? 少し型は古いようだが、それでもこれが使われていた時代から考えると、相当に高位のものだな」
隠れ里、ということだけあってやはり今の術式よりは少し古いようだ。
これを聞く限り、『錬金王』であればもう少し新しい術式を知っているのだろう。
……どこを探してもそういう情報だけが抜け落ちているので、これまで根本的な部分を改良できなかったんだよな。
「──これらも含め、技術をより高めていきたいのです。また、新しいものだけでなく古いモノ……いえ、効率化の末に消された技術なども教えていただければ幸いです」
「とりあえず、探すだけ探してみようか。無いモノは教えられないからな」
「では……」
「いいだろう。私もお前たちの知識から少しは意欲が湧いてきた。何より恩人の頼み事だからな、協力しようじゃないか」
不敵な笑みを浮かべて語る『錬金王』。
ユリルはその言葉に目を輝かせ、今にも書物を取りに行きそうだ。
……これはしばらく、お勉強に時間が掛かりそうだな。
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