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DIY、流れて交わる

アリバイ作り その08

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「──遅い」

「「…………」」

「まったく、何かないようにとユリルを向かわせたはずなのだが……当人が話に花を咲かせ、ここまで遅れるとはな」

「「…………」」

 敷き詰められたふかふかの絨毯の上ではあるが、俺とユリルは正座をしていた。

 その眼前にはユリル以上の少女である。
 最近は俺が考案した術式入りの服を着ている彼女は、取り付けられたチャックを弄りながら言葉を紡いでいく。

 だが、いつまでも座っているわけにはいかないのだ──ユリルとアイコンタクトを済ませ、この状況から脱出を図る。

「あ、あの……師匠様。実は、新しいレシピについて話し合っていたら遅れてしまってですね……ですので、あのぉ──」

「ほう、それはつまり独りで場を整えていた師を差し置いて、自分だけその智を得ていたというわけか……『生者』はともかく、ユリルはもう少し正座していようか」

「は、はい!」

「あの……その辺にしておいていただけないでしょうか? 実は、移動中にユリルさんに頼んでおきたいことを見つけまして……」

 俺がそう言うと、ふむと思考を巡らせると正座を止めて良いという解放宣言を受けた。
 互いに言葉ではなく、行動で喜びを表すように──手と手をガシッと交わす。

「……まるで私が悪役ではないか。二人ともひどいことをする」

「そ、そんなことはないですよ! 師匠様はいつも、優しくしてくれています!」
「そうですよ、さりげないサポートにはいつも感謝しております」

「…………そ、そうか? な、ならばよいのだがな」

 初めは頬を膨らませて不満の意を示していた彼女──元『錬金王』ではあるが、俺たちの心を籠めた言葉で機嫌を直してくれる。

 少々平野を逸らし──改めて、俺を歓迎してくれた。

「よく来たな、『生者』。先に『闘仙』たちの下を訪れたらしいが……仙丹とやらを用いた、煉丹術でも習得するのか?」

「いえいえ、習ってきたのは防衛手段だけですので。そもそも私はあそこでそういう類いのことを習ったことがありません。申し訳ありませんが、その期待に応えることはできなさそうです」

「そうだったか……いや、残念ではあるが致し方ない。それはいずれのテーマにしておくとして、そろそろ本題に入るとしよう」

 仙丹──区別して金丹にしようか──は不老不死の霊薬とされるものだが、現実リアルにおいて水銀であったそれは、中毒を引き起こし多くの者に死をもたらした。

 だがどうやら、この世界には水銀を触媒に本当に不老不死の薬が作れるらしい。

 これは話題に出たときに軽く聞いたことなので、実際はどうだか知らないが……いずれ試してみるのも面白いかもな。

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