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DIY、新境地を求める

大森林 その01

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 N6W5

 その地は『グランタール大森林』と呼ばれているらしい。
 とても広大なその森は、九区画分も存在しており──天然の迷宮でもあるんだとか。

 迷宮核が迷宮を構築するのではなく、自然が迷宮となり迷宮核を生みだした。

 鶏が先か卵が先か、みたいな話だが……いずれにせよ、そんな文字通り天然の迷宮の管理を聖獣が引き受けているらしい。

「さて、ここが入り口ですか……ずいぶんと嫌な予感がしますね」

「ここ最近、魔物たちの唸り声がよく耳に入るようになりました。『生者』様、どうかお気を付けてください」

「分かりました。【獣王】様と『覇獸』様によろしく伝えておいてください」

 ここまで案内してくれた騎士の方に感謝を告げ、森の中へ入っていく。

 そのさい、薄い膜を破るような感覚──と死亡エフェクトを認識できたので、それが結界なんだと思う。

「……『SEBAS』」

《畏まりました。暫定『種族識別結界』の解析を実行します》

「たぶん、迷宮の機能か聖獣の能力なんかだとは思うけどさ。種族の部分を解析、もしくは限定を解除できれば強力な結界を生みだせるようになる。頼むぞ」

《仰せのままに》

 解析装置を用意したので、時間を掛ければ何か分かるだろう。
 どうにかして、侵略者に対する結界が構築できるようになれば売れるのにな。

「──さて、俺も行こう」

 久しぶりに冒険っぽいことがしたくなったということで、『SEBAS』には結界の解析が終わるまではそれに専念してほしいと頼み込んだ。

 かつてと違い、光粒銃や【魔王】の籠手もあるのでそれなりに戦えると思う。
 ──と考えていても、結局虚弱は虚弱だということを踏まえ、冒険を始める。

  ◆   □   ◆   □   ◆

「がっ、げふっ……ごほっ!」

 結界が無いため、凄まじい速度で『死天』の能力が発揮される。
 刺され、叩かれ、貫かれ……嗚呼久々の死にまくりだ。

 最近は強者と渡り合い、「あれ? 俺って強いんじゃね?」などと甘ったれた考えに浸り始めた無意識を拷問するように、人間という種族の脆弱さを己が身で体現していく。

「くっ、『圧殺の円盤』!」

 それでも『死天』が生みだした円盤をフリスビーの要領でスナップを効かせて飛ばし、辺りを回らせてから手元に戻す。

 瞬間、軌跡を描いた内側に暴力的なまでに重量が発生し、巨大なクレーターを作る。

「……入って五分でこれとか、どんだけレベルが高いんだよ」

 ちょうど獣人種の中でも、優れた者たちでも中を認識できなくなる距離だ。

 人の目が無くなった瞬間、獰猛な魔物たちはネギの他にも鍋セットを持ってきたカモを襲い始めた。

 ──うん、雑魚だから仕方ないけどさ。

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