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DIY、新境地を求める
決闘装置
しおりを挟むルリ教団が有する戦力──ルリ騎士団。
構成員は休人だけでなく、ルリの威光を知り集まった星の住民たちも含まれている。
そのため死の危険性がある訓練場には、ある特殊な仕掛けが施されており……。
「みんなー、おつかれさまー!」
ルリが明るい声で近づいてくると、騎士団が集まり跪くポーズを取りだす。
俺はただボーっと立ち尽くし、その様子を見ている。
我が妻ながら、求心力が半端ない。
夫として本当に情けないが、決して勝とうとして勝てるわけではないので分を弁えて、ただあるがままを受け入れる。
「アナタもね~、かっこよかったわ~!」
「……ありがとう」
「もう、照れちゃって~。ほらほら、みんな纏めて回復させるから、混ざって混ざって」
「あ、ああ……」
言葉に詰まっているのはもちろん、騎士たちからの視線がいろいろとクるからだ。
崇めている教祖様が直接近づき、褒める存在……どういう扱いを受けるのかは、察しての通りだろう。
「いくわよ~“範囲回復”!」
一定エリアに居る対象すべてを回復させる魔法だが、もっとも性能が低い魔法だ。
しかし、使っているのがルリならば話は別となる……むしろ弱めておかないと、過剰回復で悪影響となるらしい。
どんだけだよ、とツッコみたくなるがこればかりは才能が生んだ悪影響だろう。
まあ、よくある『やりすぎちゃった?』みたいなヤツだ。
とにかく、そんなわけで参加した騎士団員と俺たちは癒される。
誰一人その癒しの波動を浴びていない者はおらず、至福の表情を浮かべていた。
──ちなみに俺は、過剰回復による死亡を迎えている。
「ご苦労様でした」
「ええ、まったくです……」
「あのお方の指示に逆らおうとする者は、ここには誰もいませんからね。問題なく模擬戦が終了して良かったです」
逆らえない、ではなく逆らおうとしない。
そう表現されている辺り、彼女たちの忠誠心がどれだけ狂気染みているかお分かりいただけるだろう。
ただ、それなりにいっしょに居るためくっ殺さんことリンスウェルさんはしっかりとルリのことを理解できている。
なので狂信的ではあるが、しっかりと考えて意見を言ってくれていた。
ちなみに、くっ殺さんも騎士団長だ。
ただし、ルリ騎士団としての騎士団長とルリ本人に忠誠を誓う騎士団とで分かれている内の後者である。
そちらのメンバーは前者の騎士団長よりも地位的に上らしい……なんだろうか、そのルリが好きそうな特殊キャラの集まりみたいな設定は。
あと、どっちもほぼ同義である。
「しかし、死んでもそれを無かったことにする結界ですか。聴いた時には耳を疑いましたが、本当にそんなものがあるのですね」
「休人たちが『ピーブイピー』とやらをする際と同じ結界が生成され、そこで死んだという事象を破却する……そんな神代魔道具を教祖様が持ち帰ったときは、さすがに誰もが驚いたな」
「……ええ、さすがは教祖様ですね」
拾っちゃったー、みたいな感じで持って帰れば誰もが唖然とするだろう。
もう、本当に運がイイってレベルじゃ収まらない幸運の持ち主……それこそが俺の妻、ルリであった。
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