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DIY、新境地を求める
幽源の世界 その06
しおりを挟む「人がいない……ここら一帯はゼロか」
《どうされますか? すでに区画で言えば、全方位五区画ほど捜索しておりますが》
なぜレムリアちゃんが冥界に封印されていたのか、それが原因の鍵かもしれない。
魔物は居ても人がいないこの世界、霊脈のエネルギーである霊力を探っても、未だに発見されずにいる。
「そういえば、改めて確認しておくが……地球においてレムリアに、人が住んでいたという伝承はあるか?」
《レムリアの存在そのものが不確定ですが、一説によれば存在していたとのことです。霊魂の存在なため、その会話方法はテレパシーだったと……つまり思念による理の改竄も可能であったと思われますね》
「他には……レムリア大陸そのものに関する情報はあるか?」
《花々が咲き誇る、エデンの花園のようであると。しかし、ここには……》
そう、草木はあるが花々は無い。
たしかにレムリアを歩き回り、ドローンを飛ばしたりしていたが──いっさい花っぽいものを観測していなかった。
「花か……それが無くなったから、レムリアから人が居なくなったって可能性は?」
《逆、かと思われます。人が居なくなったからこそ、花が育たなくなった。そして花が失われたことで、人もまた居なくなったと》
「なるほどな。なら、花を咲かせることでレムリア人が復活するってこと……にはならなさそうだが、とりあえず本来のレムリアに戻すことができるのか?」
《手詰まりなこの状況を打開する策として、とても素晴らしいお考えだと思います》
本来であれば不可能なことであろうと、俺には:DIY:があり、理を覆すことは容易いことだ。
しかし、俺はまだレムリアのことを知らなさすぎている。
「……俺に足りないモノ、それはなんだ?」
《情報、ですね》
「やっぱりか。力全般は:DIY:さえあればどうとでもなる。けど、情報力だけは知らなければどうしようもない」
かつて『超越者』やそれに準ずる強者たちの情報を集めた時も、それが足らずに危険な状況に陥ることがあった。
どれだけ策を凝らそうと、そういった者たちはあっさりと超えてくるからな。
確固な情報を用い、最善の策を何重にも仕掛けることでようやく自分のフィールドに誘い込めるような奴らだ。
凡人が裸で挑んだとしても、ただ一瞥されて死ぬだけである。
そして今回のケース、レムリアちゃんから聞いた話では情報が足りなかったのだ。
まあ、そもそもそれが分かっていて、下見程度の感覚で来ていたからだけど。
「下見か……うん、それならとりあえず調べたいことが分かったこの辺で終わりにしようか。『SEBAS』、あとは……な?」
《お任せください》
俺は残りのことを『SEBAS』に任せ、さっさとアイプスルへと帰還する。
俺が居ても特に変化がないのだから、実際居てもしょうがない。
『…………』
そして、完全に無人となった世界に現れ出す霊体の存在たち。
《…………》
──に加え、一体のAIがレムリアの世界で再び活動を始める。
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