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DIY、祭りに現れる
悪鬼の巣 その05
しおりを挟む「鬼さんこちら~、手の鳴る方へ~」
『グルォアアアアアアア!』
「あはははっ、とは言っても鬼ももうあと一匹かー。どんな気持ちなんだ、舐めていた相手にここまでやられたときって?」
『ジネェエエエエエエエ!』
すでに大鬼帝は怒り狂い、理性を失っている……というか、そう誘導した。
配下をドローンで殺し尽くし、そのうえで思考能力を奪うガスを散布したのだ。
俺は結界で皮膚を覆っているし、呼吸困難になろうと死亡すればリセットされるので影響がまったくない。
周囲に味方が居ると取れない戦法だが、こういうときなら使用可能だ。
『ゴロズ! ゼッダイニゴロズ!』
「できねぇよ、テメェには──【刀王】」
濃密な模擬戦を行ったので、戦闘データは充分に収集できている。
ポケットの中から取りだした[生鳴]を抜刀し、彼の者が見せた凄まじい居合術を振るい右腕を斬り裂く。
「ほら、腕が取れた……気づけないのか?」
『グゥ? ──グギャァアアアア!』
「まあ、これで首を落としても気づかずに再生しそうだし、こっちでよかったか。ほら、すぐに繋げばくっつくと思うぞ」
言われるがままに腕に切断された部位を当てると、大鬼帝が持つ再生系スキルの効果によってそれはすぐさま接着される。
断面が綺麗すぎるが故に起きる問題だが、生かさず殺さずの戦いには便利な技だ。
「あとはなんちゃって秘剣──燕返し」
某聖杯を求める戦争で使われたアレを再現したものだが、圧倒的に肉体が追いつかないので死亡数も尋常じゃない。
だが発動だけはする……三つの軌跡が描かれ、首と両腕を落としていく。
「本当、これって人が使う技じゃないよな」
《しかしそれを旦那様がなされた……初の快挙です、おめでとうございます》
「ああ、うん……人外ですって言われている気分だよ」
倒れた大鬼帝の心臓部分に向けて、お馴染みの死をもたらす一本のメスを突き刺す。
溢れていた膨大な生命力はその瞬間、奇麗さっぱり消え失せて死に絶える。
「『SEBAS』、これを人が扱えるレベルに抑えることはできるか? それと、ついでに『騎士王』が再現できるかの調査」
《畏まりました》
「まあ、素の肉体ならともかく……スキルや魔法、それに魔術を重ね掛けでもすればできるだろうよ。最近渡したあの鞘もあるし、まさに万能で全能な王様だよ」
たぶん【刀王】でもできるだろうけど、さすがにノーリスクとはいかないと思う。
だが全人族の想いから生まれた存在──限界を超える可能性を秘めた『騎士王』であれば、もしかしたらというところだ。
「あとは……素材回収を頼む。それと証拠隠滅と偽装工作も」
《畏まりました》
「俺はその間に済ませておくよ──さて、奥には何があるんだか」
お待ちかねの報酬タイムである。
ようやく解放されるのか……楽しみだ。
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