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DIY、祭りに現れる
果物の罪過
しおりを挟む「──というわけで、私と風兎は契約を交わすことになったのです」
とりあえず、これまでの経緯を伝えた。
すでに『SEBAS』を介して連絡を済ませており、風兎からは説明の許可を得てのことなので、怒られる心配もない。
『なるほど、それでクローチルは……ねぇ、ここでも同じことをする気はないのよね?』
「さすがに懲りましたので。それに、ここの魔物たちは私を襲ったりしませんので、迎撃のために使った手段を、再び実行する意味がありませんよ」
『ふーん、それは残念。わたしもあなたにその禊をやってみたかったのに』
「新鮮ではありますが、そう見ていて面白いモノではありませんよ。……それに第一、この森では私、まだ悪いことはしていないと思いますので」
風兎曰く、禊の際に出現した光の球は──俺が迷惑をかけたモノの数だけ生成された。
けど、小蜘蛛が管理するこの森の中で、来てそうそうそんな悪いことはしていない……あの森も、そう長く居たわけじゃないが。
『ああ、あれね。わたしが条件を変更すればすぐに用意できるわよ。そうねー、罪状はフルーツの量に満足できなかった、とかね?』
「……今すぐ用意しますか?」
『あら、催促したわけじゃなかったのだけれど……この子たちも嬉しそうね』
結界で本当に食べたいヤツだけが通れるように──『SEBAS』に頼んで識別性にしてもらった──結界で他の侵入を拒む。
要するに、保存するために持っていこうとするヤツはとりあえず後回しだ。
『あら、上手く結界を使うのね』
「これぐらい容易く行わなければ、乗り越えられないことばかりでしたので」
『そうね。たしかに『超越者』ともなるとやることもたくさんありそうね』
「……やはりご存知でしたか」
風兎との経緯は話したが、そこまで細かい身の上話をした覚えはない。
なんかこう……守護獣ネットワーク的なものでもあるのかもしれないな。
『むしろ、知らないと思う? 定期的に情報交流の機会があるんだけれど、風兎に関する話は直々に獣神様がされたのよ。『超越者』に付いていった、とね』
「獣神様……」
『どうやら試練を乗り越えて、邂逅したようだしね。言っても咎められることはないから伝えておくわ』
まだ(■神の祝福)で判別が微妙だったが、やっぱり獣神なんだな……うん、獣の神とは言っていたが念のためな。
死神様はその際、しっかりと名前が解放されたが……うん、早く解放したいようなしたくないような。
閑話休題
しかしまあ、ずいぶんと受け答えがいい小蜘蛛さんなこって。
──さて、この出会いは吉か凶か。
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