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DIY、祭りに現れる
レベル限界 中篇
しおりを挟む本来700もレベルがあれば、ドラゴンだろうが魔王だろうがワンパンで倒せるだけの能力値のはずだ。
しかし俺は:DIY:を持つリスクとして、魔力と器用さ以外がいっさい上昇しない。
そのため、どれだけ装備を強化しても魔力と器用さ以外いっさい補正も入らない虚弱すぎる俺にとって、レベルという数字はただの魔力量とイコールでしかなかった。
魔力があれば能力値を強化できる? それはそういったアイテムが必要だし、それに耐えうる肉体があってこそ機能するのだ。
「歴代の『騎士王』の中でも、レベルがそこまで達した者は数人だぞ」
「あっ、やっぱりいるんだな?」
「うむ。初代様は『超越者』の限界であるレベル999を超え、特殊な能力を解放したという伝承が残っている。『生者』もいつか、同じようにナニカが目覚めるかもしれぬな」
どうやら『超越者』にも、レベル限界が存在していたようだ。
おそらくそこが、生命体としてのレベル限界なのかもしれない。
もう少し詳しく聞いてみたところ、そこまで行けた『騎士王』は数人いたものの、突破できたのは初代だけなんだとか。
それだけ厳しい条件があるのか、はたまた初代が特別なのか……難しい問題だ。
「俺もすぐにそこまで行くわけじゃない。このレベルになるのだって、数ヶ月はかかったわけだしな」
「……いや、数ヶ月でレベルを百に至らせることすら不可能だと思うのだが」
「俺の場合、弱すぎるから恩恵が強く与えられるんだよ。蘇生に関するペナルティもいっさい無いし、勝ちさえすれば膨大な量の経験値が手に入る。これで上がらなきゃ、それはそれで問題だろう」
相手が相手だ、特に経験値が多かったのは冥界の深層で戦った……アレである。
特殊な環境での戦闘だったことを加味してくれたのか、それとも軍勢だったからか、終了後のレベルは三桁分プラスされていたよ。
こっちは全力で抗い逃げたかっただけなのに、アイツらは容赦なくこちらを……思いだそうとするだけでゾッとするな。
とにかく、アレは守護者的な意味もあったからか相当に経験値が多かった。
閑話休題
「それだけのレベルなのに、この覇気か……誤解されそうな体質だな」
「まったくだよ。レベルだけを知られれば強者に挑戦だと挑まれるし、かと言って弱さを前に出していると雑魚だと舐めてかかる連中に絡まれる……ハァ」
「よいではないか。いずれにせよ、そのすべてが『生者』の糧となるのだから」
「……俺をなんだと思っていやがる」
そう言って取りだしたスイッチを、凄まじい速度で奪取する『騎士王』。
うん、絶対に嫌なヤツだと思っているのは間違いないな。
──だってポケットにこっそりと手を入れた瞬間から、もう察知されていたし。
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