上 下
668 / 2,794
DIY、祭りに現れる

歓迎ミニゲーム その15

しおりを挟む


 最後のミニゲーム──それは『くじ』だ。
 要するにルリの独壇場、望めば望むだけ結果を生みだすルリ無双回……ではあるが、信奉者として恩恵にあやかっていない俺にとって、今その話は省いておこう。

 くじなどの運ゲーの類いは、裏で当たりが無いだのと揉めてしまうことが多い。
 そのためソシャゲやオンゲーでは現在、当選確率の開示が必要とされているぐらいだ。

 VRMMOであるEHOもまた、当選確率はしっかりと表示されていた。

 だがその確率──0.0001%。
 細かいことはよく分からないが、ゼロの数からして少ないと思うだろう。

「ただ、一番簡単な方法ならだけど」

《旦那様はどれをお選びになりますか?》

「条件が厳しいからな……どれ、と言われると正直悩む」

 くじにも種類があるように、紙を引くくじの他にも──千本引きやあみだくじ、果てはガチャやビンゴまで存在する……最後の二つもいちおう、くじなんだよ。

「ただ、ガチャは0.0001%だろう? 他も似たような感じで仕掛けがあるのは当然だ。実際、運勢のLUC補正が無い状態で挑んだらどれぐらいで引けるんだ?」

《リセット後に初めて挑むのであれば、独占以外での入手は不可能かと》

「まあ、唯一のギャンブルミニゲームだからな、そんなことないだろうけど」

 ミニゲームの一部にはそれぞれ新人のためとなるモノがあり、『バトル』や『くじ』はそのジャンルに含まれている。

 模擬戦をすれば戦い方が分かるだろう。
 そして、くじを引けば──

「景品が手に入ると。富くじも含んでいるから金でもいいし、コインを手に入れることもできる。物欲センサー全開でいかなきゃ、新人でも一つぐらいいいものが手に入るか」

 とりあえず、あみだくじを選んでみた。

 ビンゴはカードがランダムなため、いっさい『SEBAS』のサポートが受けられないから却下、他のゲームも似たような感じで単独でのクリアが難しいものばかりだ。

「──はい、それでは好きな場所をお一つお選びください」

(どこを選べばいいんだ?)

《それでしたら……》

 視界に表示された無数の線の内、指示された場所を選択する。

 すると、会場の奥に設置されたパネルの中で選んだ場所が光輝き、線を辿り下へ下へと線に色が付いていく。

「──おめでとうございます! 見事、クリアコインが当たりましたよ!」

「本当ですか!? や、やったー!」

 などと一攫千金に挑んだギャンブラー並みに喜び、周りを引かせる。
 ついでにルリを崇める宗教について軽く呟き、信者のように振る舞っておく。

 ──運がいいのはルリのお蔭、そう思わせておくのが一番楽なのだ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

処理中です...