658 / 2,733
DIY、祭りに現れる
歓迎ミニゲーム その05
しおりを挟む──『かくれんぼ』。
これも『だるまさんが転んだ』と同じく、判定が過剰にシビアとなっている。
五感の内、いくつかに反応があればアウトになるし、後半になると気配まで探ってくる鬼ゲーだ。
「参加者の人数に対応して、鬼の数が増加する。そして、何より協力可能だ……早め早めに参加しておくべきなんだよな」
数が多ければ鬼も増える……しかし、こちらはただ隠れる以外の選択肢を持っている。
さすがに鬼をこちらで減らすような行動はできないが、それ以外なら可能だ。
鬼を罠に嵌めたり、音で誘き寄せたり、逃げ足の速い奴が時間を稼いだり……方法は多岐に亘るだろう。
「さて、俺も頑張りますか」
ミニゲームとしての『かくれんぼ』において、鬼役は妖精種の子鬼たちがやっている。
醜悪なイメージを持つ魔子鬼と異なり、とても可愛いらしい容姿をしているので、ここでその違いを認識させたいのだろう。
ただ、その弊害として……わざと掴まろうとする者たちがチラホラいるんだよな。
やっぱり、そういった趣味の方々にはドストライクな種族なわけで……犯罪行為だけはどうか控えてもらいたい。
「音ではバレない、臭いも隠した、視覚もほぼ完璧、体温も偽装中。けど、触れられたらアウトだな」
防音結界で周囲を囲い、臭い消しですべての臭いを拭い去り、光学迷彩で姿を隠し、体温は結界で周囲と合わせている。
だが、その結界を見つけられてしまったら確実にアウトだろう。
《残り40人、まもなく後半戦となります》
「割と残ってるな……十人で損害が済んでいるのは、隠形系のスキルを多くの人が持っていたからかな?」
《ですが、ここからはそう簡単にはいかないでしょう。スキルの力を過信せず、自ら姿を隠そうとする気が無ければ発見されます》
「みたいだな。俺もそれを心がけよう」
普通の子鬼ではありえないほどに探知スキルが強化された鬼役たちは、次々と隠れている者たちを発見していく。
タッチされなければセーフなので逃げようとするのだが……そうは問屋が卸さない。
「……逃走中だな、いろんな意味で」
理論上は逃げられる速さなのだが、その逃走者の最高速度に合わせて追いかけてくるため、持久力と脚力を維持できなければいつかは捕まってしまうのだ。
「頑張ってほしいよ、逃走者諸君……というかこれ、『かくれおに』じゃないか?」
《そうかもしれませんね》
「まあ、俺としてはこっちの方がルール的にもありがたいからいいんだけど──空に居ても、無敵じゃないからな」
空から逃げ惑う同胞たちを眺めながら、結界で隔離された空間でのんびりと終了時刻をお茶を啜って待つ俺であった。
10
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる