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DIY、遥かな旅路へ
東国巡り その09
しおりを挟む都牟刈城
そこは武具庫と一体化していた。
どこを見ても武器、武具、武装──刀だけは見つからないので、どうやら武器フェチというわけではないようだ。
「いや、ここまで戦いたいですって強調する城もなかなか斬新じゃないか?」
《旦那様の所有する『天空の城』も、一部の方々にとっては挑戦状でございますね》
「そうなんだがな……いや、俺もここまでするのは、やっぱり凄いと純粋に思える」
《なるほど。覚えておきましょう》
少し心配になることを言われたが、とりあえずはまずはアポを取ることにしよう。
堂々と城門の前に向かうと、門番たちがその道を阻む。
「貴様、この都牟刈城に何の用だ!」
「わ、私は商人です。このたびは、【刀王】様にある刀を献上したく……」
「刀だと……正気か?」
「見て、いただきたいのです」
そう告げると、門番のうち一人がどこかに連絡を取るためにどこかへ消える。
そして、しばらくしていかにも鍛冶師、というイメージが合うガタイのいい男を連れて戻ってきた。
「見ねぇ顔だな、どこから来た?」
「央からです。独り立ちをしたく、頼れる場所を探していまして……」
「それでここを選ぶとは、大層な自信があるみてぇだ。まあ、ダメでもここで止めてやるから安心しろ、今日は運よく巡回することはねぇからな」
どうやら王であり殿である城の持ち主は、刀を求めて彷徨うことがあるらしい。
対等に見せたある意味対等な賭けを行い、刀と刀を生みだす者たちを相手に品を奪っていくんだとか。
「まずは物を見せろ」
「は、はい──こちらです」
『──ッ!』
ポケット……からだとまた問題になると思い、再びバックの中から刀を取りだす。
しかし、どうやらやり方だけでなく出す物にも気を配った方がよかったようで……周囲の人々はとても引き攣った表情をしている。
「な、なんだよその刀……! ただ素材がイイだけじゃねぇ、ナニカが宿ってんだろ!」
「見て分かるのですね。はい、この刀にはあるものが憑りついております」
「ひょ、憑依型……なんてものを……」
字面的にアウトっぽいが、要するに外部から霊的存在が宿っていると言えば少しは響きがマシになるだろう。
なぜなら、精霊や神の使いが宿った武具もまた、大まかに言えば同じジャンルだから。
「というか、鞘からも……まさか」
「ええ、鞘と刀本体。それぞれに異なるモノが憑りついております。二つは相剋を起こすことなく、相乗効果をもたらすように設計されている……とのことです」
さて、これで釣れればいいんだが。
いったい、どういう反応をするんだろう。
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