上 下
504 / 2,752
DIY、試練を受ける

未然の断ち切り

しおりを挟む


「とっくに予期していたことだよ。君という人物が、いずれ何かを起こすのは」

「それって、プラスかマイナスかきちんと教えてもらえますよね?」

「……ポーションによって、死の概念が覆るような発明をしていた。だけど、それでも君にとっては最下級以下の知識。なかなか異常だったけど、その一部であればカバーできたからね」

「あの、どちらなんですかね……」

 ジッとギルド長を睨むのだが、俺の威圧にはそこまで恐怖を感じないのか手をひらひらと振るだけで何も答えてはくれない。

 しかしまあ、なんともその立ち振る舞いが安心できることやら。
 これまでの実績がそのことを証明してくれるし、何より『SEBAS』もまた問題なしと言ってくれている。

「品質の問題なんて、もう過去の話だよ。君という存在が持ち込んだ技術によって、むしろどうやって薄めようかということが話題になったぐらいだしね」

「ああ、そんなこともありましたね」

「……他人事なのがあれだけど、まあ君にはそれを言う権利があるさ。ツクル君、そのうえでこれを出したのかい?」

 話が再び戻った。
 病気回復ポーションは、あまり世に出ていない……だからこそ、救えない命がある。
 俺は『生者』、生を尊ぶ者……的な感じでどうにかしてやれないかと考えた。

 今のままでも救えるというのであれば、俺も何もせずにいられただろう。
 だが他のギルドが営利を追求していることが原因で、病気で苦しむ者たちが正しい処置もできずに亡くなってしまう……助ける方法はあるのに、である。

「これで救われる者はどれだけ居るでしょうか。世の中が善行だけで回っていられるほど甘くないことは、充分に承知しています。ですがそれでも、罪のない子供たちにまで大人の事情を認識させたくはありません」

「……そうだね」

「初めの内は混乱するでしょう。しかし、いずれ今の子供たちが成長した時……病気回復ポーションが簡単に手に入る。そんな未来を創りたいのです」

 現実でも、そうしたことは多々あった。
 昔の死の病と呼ばれた病気も、最新の医療であればほぼ確実に救える……なんて事例があるくらいだ。

 過去の人々は因果なんて無視して恨むことだろう、どうしてもっと速くできなかったんだと。
 そんな怨嗟を──未然に断ち切りたい。

「お願いします、ギルド長。せめてこのポーションの安定した生産だけでもご検討願えないでしょうか!」

「……最初から、その気だったんだけどね」

 頭を下げていた俺は、パッと上げてギルド長の顔を見る。
 それは悪戯が成功した子供のよう……ではなく、なんだかバツが悪そうだ。

「あくまで注意がしたかっただけさ。君がやろうとしていることに、どれだけの影響があるかとね」

「なるほど」

「ぼくたちにだって利益はあるんだ。君のこの技術で、儲けさせてもらうんだからね」

 偽悪的な笑みを浮かべるギルド長。
 それを見た俺は、この人に任せてよかったと心の底から思えた。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

異世界行ったらステータス最弱の上にジョブが謎過ぎたからスローライフ隠居してたはずなのに、気づいたらヤバいことになってた

カホ
ファンタジー
タイトル通りに進む予定です。 キャッチコピー 「チートはもうお腹いっぱいです」 ちょっと今まで投稿した作品を整理しようと思ってます。今読んでくださっている方、これから読もうとしていらっしゃる方、ご指摘があればどなたでも感想をください!参考にします! 注)感想のネタバレ処理をしていません。感想を読まれる方は十分気をつけてください(ギャフン

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

処理中です...