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DIY、試練を受ける
病気問題
しおりを挟むギルド長とは、このゲームを始めてから長い縁ができていたと俺は独り感じていた。
相手がどのように俺を捉えているか、それは理解できない。
だが、不思議とギルド長であればたいていのことには理解を示してくれるだろうと……無意識ながらに思っていたのだ。
「──ダメだよ」
「おや、なぜです? この問題を達成できれば、生産ギルドは確実に」
「……だから、それも含めてダメなんじゃないか。まったく君は、いったいどこからそんな情報を仕入れてくるんだい?」
「頼れる筋から少々」
ここでタクマの名を挙げてもいいが、この問題について思い返して止めておいた。
知りすぎる情報屋、というのも客にとってバツが悪い相手であろう。
何より、知ってはいけないものも在る。
俺は意味もなく友人を、危険に晒すような男ではないのだ……いちおう。
「ハァ……確執はしょうがないんだ。君たちの世界にだって、そういった問題の一つや二つあるだろう?」
「ええ、指で数えるだけでは収まらない程度にはありますね」
「こっちだってそうだよ。加えて言えば、他世界との交流もあるから、なおのことそれがひどい。前にも言ったよね、君が望めば王にもなれるって」
「……遠慮しておきますよ」
だよね、と苦笑するギルド長にダラダラと冷や汗をかいて笑顔を見せる。
王様と魔物の幼生体たちが呼ぶのは、いったい誰のことなんだろうな……。
「今回提示してもらったポーション、これは特化型の一つだね」
「病気回復ポーションです。分かっているとはお思いですが、状態異常回復ポーションでは治せない症状の大半は病気ですので……そちらにのみ効くものをご用意いたしました」
「うん、それは理解しているんだけど……だからこそ、他のギルドと衝突しちゃうよ」
病気と言う概念はとっくにあるらしい。
まあ、『錬金王』のアトリエでさまざまな実験キットを使って確認してあるので、それは分かっていたけどさ。
だがだからと言って、病気について俺たちの世界と同じくらい詳しいわけではない。
あくまで体の中で小さな魔物が暴れる、とか……世間一般はそれぐらいの理解度だ。
「他……となると、神殿ギルドですか?」
「信仰魔法の使い手も、そりゃあ反応するんだけど──医療ギルドがね」
「ああ、やはりそうですか」
「当然さ、特化している分販売しているポーションの品質があそこは高いからね」
神殿ギルドは神様関係、医療ギルドは治療関係のギルドなのは分かるだろう。
神様に祈ってより高位の回復現象を起こせる信仰(系統)魔法、そして人智を尽くした高位のポーション。
そんな素晴らしいものたちも、神が気紛れに生みだした:DIY:に劣っている。
まあ、信仰魔法は回復以外にも使い方があるのだが……どちらにせよ、回復関係だけに絞れば下に位置してしまうんだよ。
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