497 / 2,752
DIY、地平線を拝む
バトルロイヤル その09
しおりを挟む「おっと、初めての被害者かと思ったら初心者だったか……そりゃあ仕方ない。少し喜んでいたし、良しとしようか」
《旦那様、こちらを》
「ああ、これは見事にやられてるなー」
内部カメラがしっかりとお城まで映像を中継してくれるため、暇潰しにはもってこい。
プレイヤーたちが俺のロボット兵相手にどこまで戦えるのか、それを調査していた。
「死神様との試練が長かったせいか、同時期に始めたプレイヤーはだいぶ成長してたからな。ここが何かあったんだろう」
《……初期のイベントを探ったところ、経験値量を上げるといった内容のものが存在しておりました。おそらくはそれかと》
「うん、というかそれしかないな」
レベルの爆上げに成功した結果、圧倒的差が生まれてしまったのか。
話を聞いてみれば、以降の初心者は一定レベルまで経験量が増える称号やアイテムを貰うことで上げているようだ。
俺? キャンペーン中に何もしていなかった、バカ野郎として扱われているだろうさ。
あるものは創れる:DIY:だけど、レベル上げをやっても増えるのは魔力と器用さだけだしな……正直悩む。
「まあ、そんな俺でも殺れました。といった感じで売り込めば売れそうだがな。もちろんコイツらは、国の防衛力としてのキープしかしないけど」
《旦那様は無欲ですね》
「無欲? おいおい『SEBAS』、お前が一番分かっているはずだろ。欲があるからこそ、俺の選択はこうなんだって」
もちろん、『SEBAS』も俺が退屈しないように話の種として、あえて言ってくれたということは分かっている。
そのことに感謝を内心でしつつ、そのまま会話を続けていく。
「他者を犠牲にしてロボの実験、初心者は残しているが……これは、今後の分が無くならないようにするため」
映像の中で逃げ惑う奴らを観ながら、少しだけ思う。
俺が普通のプレイヤーで、逆にああなっていたらどうなるのかを……死ぬな、うん。
「抗える者は極少数、倒せたとしても無限に湧き出るこいつらは止められない」
一機、また一機と倒されていく。
そのたびに二機、四機と数を増やして地上へ降りるロボット兵。
数が増えれば被害が増え、俺の下にたんまりとポイントが注がれることだろう。
「それを単独犯でやっている……ずいぶんとまあ、怖いお父さんだよ」
《ご家族の皆さまがたは、一人として死なれておりませんが》
「あっ、うん。そこは普通に強いし、当然信じていたさ。俺なんかと違って、ちゃんとした理由があるわけだし」
少し話が逸れたな。
ゴホンと息を吐いて、話を戻す。
「人間生きてく限り、無欲であることなんてほぼ不可能だ。神に感謝する敬虔な聖職者であろうと、究極的な話飲まず食わずで寝ずにいることなんてできない……できたとしたらそいつは、もう人じゃないだろ」
欲望があるからこそ、俺たち人類はこんな技術まで生みだしたんだ。
それは否定しないし、しちゃいけない……何の話だったんだっけ?
10
お気に入りに追加
645
あなたにおすすめの小説
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる