虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
496 / 2,812
DIY、地平線を拝む

バトルロイヤル その08

しおりを挟む


 天空の城を動かし、場所を移す。
 秘境らしく不可視化機能……は無かったので組み込んだ今の浮島は、まさに天然の爆撃機としても使用できる。

「『SEBAS』、準備はいいか?」

《はい。可能です》

「そうか……頑張ったなー」

 自分でもそう思えるほどに、張り切って支度をした気がする。
 最近は使っていなかったハイテンションになるポーションを含み、前に使った釘を含む概念工具なる代物まで使って造り上げたんだからな。

「──では、これより祭りを始める」

《一番機より十番機、順次起動します》

 俺の居る場所、それは工場。
 大量生産に成功したロボット兵たちの内、十機の瞳に光が灯る。

「一番機より十番機、各自に命ずる。自身にプログラムされた我が命に従い、我らの力を魅せつけよ──すべて浄化だ!」

 意味もなくはしゃいでいるが、そこはゲームだということで勘弁してほしい。
 彼の大佐ですら、例のプラズマ装置を使うだけでロボは使えなかったのだ……そう、今この瞬間、俺は大佐を超えたとも言える!

 少しばかり楽しんだっていいじゃないか。
 格好も彼に寄せて色付き眼鏡(度無し)まで着用しているんだ、この気分は俺だけのものなんだぞ!

「いざ──進軍だ!」

 そして、ロボット兵たちは開かれたハッチから次々と発射していく。
 カタパルトでも良かったのだが、今回は原作通り下へ落ちていくものを採用。

 天より舞い降りし機械兵……さて、休人はどうやって抗うのかな?

  ◆   □   ◆   □   ◆

 世界は混乱に苛まれた。
 何気ない日常は唐突に終わりを告げ、果てしない闘争の幕が開かれたのだ。

「──おい、急に曇ったぞ」

 そうして始まりとも呼べる災禍の種を見つけた者が、どれだけ居たのだろうか。
 陰りよりそれに気づいた者は、皆同様に天に手をかざして空を拝む。

「ん? 雲……じゃない、魔物か?」

 飛行する魔物など多種多様に存在する。
 ファンタジー世界に慣れた彼らにとって、それこそが正しい解答なのだろう。

「…………いや、違う。これ、プロペラの回転音がするぞ!」

 聴き慣れない、しかし聴き慣れた音がどこからともなく聴こえてくる。
 この世界ではまだほとんどの者が知り得ない、機械の作動音。

 それはどこからでもない、空からの使者が放つ音だった。

「う、嘘だろ……なんで、奴がここに」

 敬愛なるジフ°リマニアである一人の青年は、その正体に一瞬で気づく。
 そして絶望する……見るからにルハ°ン三世に出てきた方の機械兵には、不備など感じられなかったからだ。

「あっ──!」

 そのうち一体が自身の下に舞い降り、ピカピカと信号を放った。
 もう終わりだ、彼がそう思った直後──辺りに閃光が奔る。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...