438 / 2,812
DIY、闇に潜む
革命 その03
しおりを挟む「……そして、この戦いをどう考えます? 貴方にとっても、無視をし続けることはできないでしょう」
『別に。それより、どうして協力しているのかな? もしかして、私を殺そうと──』
「それこそありえません。そもそも私に、貴方を殺すだけの力は持ち得ておりませんよ」
隣にはフードを被った子供が居た。
俺の渡した魔道具を使ってスピーカーのように、拡声した言葉を変声させた状態で俺へ伝えてくる。
「【暗殺王】さん、いったい貴方は私に何を見せてくれる予定だったので? 物によっては、英雄様たちの進軍を止めることができるのですが……」
『見ての通り、無限の兵だよ。その本質はまた別なんだけど、私が暗殺なんて仕事を請け負っても誰も責めれない理由の一つさ』
「……神代魔道具ですか」
『あの二人の所へ行っていれば、それももう分かっているか。そう、私が持っているのは工場みたいな物だよ』
工場……人形の生産をそこでしているということか。
そして、工場で創られるモノと言えば──
「食料も、貴方が牛耳っているわけですね」
『正解。畑や家畜が存在しないこの街だと、外部から運ばれる品よりも、私たちの工場で作られた物の方が食べられるんだよ』
「なるほど……そういうことでしたか」
プレイヤーの[インベントリ]も、この街の住民全員の空腹を満たすだけの食料を持ち込むことはできない。
神代の魔道具であれば、それすらも可能にしてしまう……だがまあ、闇厄街まで届いていないのだから問題があるんだろう。
『すべての品は同じ製造ラインで作られているから、こうした戦いが続けば続くほど値上がりするんだけど……何がしたいんだろう』
「──逆に、食料だけを作ろうとして、街全域に回すことができますか?」
『? 無理。昔と今とじゃ、想定している人数が段違い。暗殺だけだと生きていけないから、食料は売っている。けど、それがどうかしたの?』
プレイヤーが来た影響も、少し混じっているかもしれないな。
絶対に死なない……というより、殺しても殺しても蘇るのだから、わざわざ金を払ってまで殺す意味がないんだよ。
「暗殺ギルドそのものを、一度借りることはできませんかね?」
『……報酬は?』
「問題の解決。また、改善」
『改善?』
少し説明が足りなかったか。
解決は自分たちでもできると分かっていそうなので、わざわざ説明する必要もない。
「たとえば今、兵士と食料を同時に作ることはできない。だからこのような行動が長期間続けば、誰も幸せにならない」
『…………』
「私は『生者』、生きるための方法をよく知る者。闇厄街に住まう者たちを生かすため、しばし協力していただけませんか?」
『……足りない、かな? それはまだ仮定の話でしかない。目に見えて支払われる報酬がないと、承諾しかねる』
まあ、ごもっともで。
俺もこれで納得していただけるとは、まったく思ってなかったし。
「では、こちらでどうでしょう?」
『こ、これはっ……!?』
うん、興味をそそる品みたいだな。
──英雄、出番はまだだろうか。
11
お気に入りに追加
646
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる