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DIY、闇に潜む
第一権限 その02
しおりを挟む「こりゃあなんとも……いろいろと怪しいというか妖しいというか」
「はっきり言ってくれていいのよ。不気味で色が変だって」
うん、たしかにそんな感じなんだけどさ。
混沌という言葉が一番合うだろうし、進呈しておこう。
そんなわけで、宮殿の地下は混沌に包まれた場所である。
俺の目的地は、その最奥にある扉──しかも宮殿前の扉より大きい──だった。
「本来なら、関係者以外立ち入り禁止なのだけれど……第一権限を持つ貴方もまた、関係者というわけね」
「与えられたなら行ってみるものだろ」
「……こちらとしては、条件を忘れないでもらえればそれで充分よ」
「了解だ、任せておけ」
扉の下へ俺だけで向かい、『冥王』は後ろでその様子を窺う。
いちおう開かない場合というのも、予想しているんだろう。
「開け~ゴマ!」
□ ◆ □ ◆ □
称号『生冥の迷い人』を確認
冥界への移動権(第一権限)を行使します
開門……成功しました
□ ◆ □ ◆ □
「開いた、わね……」
「開き、ましたね……」
そんなこともなく、扉は鈍い音を上げながら開いていく。
やっぱりか、みたいな顔をした『冥王』は置いておくとして、行ってみようか。
◆ □ ◆ □ ◆
「……禍々しい」
混沌の次は、終焉という言葉が似合う場所へ出てしまう。
世界は生命が死滅した大地、大気に散る濃厚な黒い霧、猛烈な死の気配。
《解析完了──死霊系の魔物の存在は確認できません》
「マジかよ……いや、なんとなく予想していたけどさ」
環境に似合わない場所に、なぜかその不適合な存在が居るというのはファンタジーの作品においてある意味王道とも言える。
そういった王道を、EHOの運営もバッチリ理解していたのだろう。
「目的地までどれくらいだ? 制限時間も設けられたけど、あれはどうにでもなるだろ」
《……本来であれば、その時間内での移動は不可能でしたね。擬似転移装置を使って辿り着くのが精一杯だったかと》
「そりゃあ、こんなに濃密な魔力が飛び散ってればそうなるよな」
転移の装置は魔力の理と科学の理を組み合わせて生みだした、超技術とも言える。
そのため、魔力が妨害されるこの場所において、座標指定ができるだけの装置と化していた。
《二度目では可能ですが、今回は……》
「まあ、何度も言うが制限時間はあってないようなものだ。ゆっくり気長に、死にながら逝ってみようか」
この場所では物凄い勢いで命が削られ、最後には死ぬという環境効果があるらしい。
魔力、精神力、生命力といった順番で奪われていき……当然死ぬという仕組みだ。
けど……トライ&エラーをすれば、挑むこともできるさ。
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