上 下
314 / 2,733
DIY、大陸を渡る

ボトムアップ

しおりを挟む


 アイプスル

「──よし、改造できたぞ!」

《おめでとうございます》

「正直:DIY:のレベルがカンストしていなかったら失敗してたかもな。こういう情報が浮かぶようになったのって、レベル10に上がってからだし」

《古代技術……そこにヒントが隠されていますね。さすがに運営も注意深く情報を隠蔽しているようで、通常の方法では集めることも難しそうです》

「まあ、そこはほどほどにな」

 先日、ドゥーハストの城の地下で見つけたロボドラゴン。
 数日かかったがどうにか修理と改良、そして改造を行うことに成功した。

「無駄な機能を省き、男のロマンを組み込んだ結果──二足歩行のロボに変形できるようになったぞ」

《それが地下に置いてきた物ですか》

「あれがあれば、あとでこっちを見た時に違和感を感じづらいだろう。だって、類似した形状をしているんだから」

 姫様なら理解しているだろう。
 嘘は吐いていなかったが、言っていたことのすべてが真実じゃなかったんだし。
 あまり社会人を舐めないでもらいたい。

「まあ、さすがに人間モードは用意してないけどな。『SEBAS』に頼まれたプログラムも入れておいたけど……あれはなんだ?」

《擬似人格プログラムの一種です。しかし、それと同時にボトムアップ型のAIが組み込まれています》

「はっ……?」

《教育はこちらで行いますので、旦那様のお手を煩わせることはないかと》

「…………いや、ちょっと待て。ボトムアップ型なのか? トップダウンじゃなくて」

 ここで分かりやすい(?)豆知識。

 あらゆる情報を入れて、人間と同じ反応を求めるのがトップダウン式。
 人間そのものを再現して、知性を芽生えさせるのがボトムアップ式。

『SEBAS』はトップダウン式のAI……の、はずだ。
 ネットと接続した結果、世界中の情報すべてを識るスーパーAIになった。

 だが、会話に出てきたのはボトムアップ式のAI……人間、再現したの?

《生物の情報、それに魂の観測はある程度完成していますので》

「……手袋の影響もあるか」

《仙丹のエネルギー源、それがヒントとなりました。人間の最終到達点、その一つが仙人ですので》

 俗世を捨て去った者が仙人、欲を捨て去った者が仙人などいろいろな説がある。
 だがどれも人間とは一段階超えた存在であり、そう仙人を称していた。

《観測できた魂を基に原初の魂を完全解析。それを一から育ててみようかと》

「……まあ、なんでも一度やってみることが大切か」

 頭ごなしに否定しても仕方ない。
 とりあえず成長できるかどうかを確かめてから、結果に応じて考えてみよう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」

サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

公爵令嬢はアホ係から卒業する

依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」  婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。  そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。   いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?  何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。  エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。  彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。    *『小説家になろう』でも公開しています。

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~

秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」  妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。  ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。  どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

処理中です...