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DIY、大陸を渡る
個人領域
しおりを挟むアイプスル
「さて、やることも終わったし、そろそろ冒険に行きますか」
すでに受け渡しやそれに関する処理を終わらせ、彼女──カルルはこの世界の住民として生きることになった。
風兎の助手として、きっちりと働いてくれるだろう。
「いちおう外出用に『隷属の首輪(笑)』を用意したし、なぜか『服従の足輪』なんてパチモンが作れたりもしたけど……そこら辺はどうでもいいか」
だって用途が無いんだもん。
なんだかアイプスルが気に入ったらしく、一度聞いたときは永住する、などと言われてしまい困ってしまった。
せっかく用意したアイテムだが、俺に従魔ができない限りは使わないな。
「『SEBAS』、俺に足りない物を埋めてくれる従魔ってなんだと思う? できれば教えてほしい」
《旦那様に足りないものですか……嵌め殺しされた場合に解除するものでしょうか?》
「おおっ、それだよそれ!」
基本:DIY:でなんでも用意できちゃうわけだが、体を動かせなくなった状態ではどれだけ便利なアイテムを持っていようと使用することができない。
死ねばリセットなのだがそれすらできず、ひたすら暇な時間なんて絶対に厭である。
「それじゃあ、そんな俺の悩みを解決してくれそうな魔物はいるか!? できるなら、弱い奴でも受け入れてくれそうな奴で」
《本来ならば聖獣などの存在をお薦めしたのですが……旦那様のお嬢様が粗方調教しておりますので、もう目ぼしいものは存在しておりません》
「マイがか……ならいいや。たしかたくさん従魔が置ける場所を貰ったってずっと前に教えてくれた気がするし。それでたくさん手に入れておいたのか」
《旦那様が死神のクエストをこなしていた頃に行われたイベント。その中の一つとして、優秀な功績を誇った者が選んで入手できたものこそ──『個人領域』というものだそうです》
要は箱庭の個人版である。
拡張などに少々面倒があるそうだが、無駄にSPという設定にこだわる必要がない。
環境設定も一度行えば簡単にできるらしいので、従魔を置いておくには最適な場所だったのだろう。
「個人領域か……ショウもルリも持っていたよな? 同じときに聞いた気がするし」
《はい、持っておられるようですね》
「世界との関連性は? 接続は可能か?」
《可能でございます。核の存在を知る者であれば、領域の保持者を核の場所へ連れていくか擬似核に近づけることで、組み込むかどうかをシステム的に確認されます》
つまり、会えば世界に誘えると。
……よし、やる気が満ちてきたな。
「まあ、それとは別だが従魔を探そうか。魔物の『超越者』っているのかな?」
それをスカウトするのが、一番強い気がしてきたよ。
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