276 / 2,823
DIY、巡礼のち無双
カムロドゥノン その05
しおりを挟む「現れたか……」
膨大な数の魔物たち。
野良ではありえない多種族で構成された群れが、一つの方角に向けて進軍している。
目的地はここ、サロックという町。
大量の岩の柱が存在する岩盤地帯だ。
「ある程度、できる限りの準備はした。モルメスもストック多めに創っておいたし」
脆弱な魂を切り裂くメス、それを数百本用意しておいた。
ただし通常版より劣化しており、一度限りの使い捨て仕様としてある。
「ドローンによる遠隔攻撃も、設定は済ませてある」
LMG04『エアロス』、無数の機関銃を取り付けたドローンたちが俺の手が届かない場所にいる魔物を倒す予定だ。
「あとはこいつだ──来い、『カエン』!」
ポケットからボタンを取り出し、『アイプスル』へ繋がる信号を放つ。
すると、目の前の空間が歪曲し、中から子供が現れる。
「お呼びでしょうか、マスター」
「かくかくしかじかだ」
「……うまうまさんかくですね、承知しました。私もマスターに用意して頂いた兵装を使用し、参戦いたします」
「あ、ああ……頼む」
カエンは敬礼をすると、姿を消してどこかへ移動を始める。
なぜか、俺にしか見えない『光学迷彩レベル一』を使っていたんだが……もしかして、この場所はもう相手から丸見えなのか?
「今さら隠れてもしょうがないし、俺は囮役でもやりますか」
◆ □ ◆ □ ◆
戦いの火蓋は切って落とされた。
魔物たちには、軍団の長によってある一つの魔法がかけられている。
──耐状態異常付与
あらゆる状態異常に関する耐性を持ち、これから現れるであろう守護者の攻撃による状態異常の発生率を、予め防ごうとしていた。
代表者は知っていた。
相手が毒ではない毒を操り、触れただけで対象を殺す術を有していると。
自分が用意した魔法が、『超越者』とはいえ休人ごときに負けるはずがない……そう思えていたからこそ、彼は驚く。
「馬鹿な。なぜ奴は、ここまでの力を有しているのだ! 不死性が奴の権能ではないというのか!」
上空から舞い降りてきた鋼鉄のナニカ。
それなら長い筒をこちらに向けて、不快な駆動音とともに現れた。
遠くから飛んで来たそれは、少しずつ数を増やしていき……数百にも及ぶソレが、最終的にその場に集う。
初めはそれが何なのか、まったく分からなかった魔物たち。
だが、彼らはそれを己が身を以って知ることになる。
──コウゲキカイシ
ダダダダダダッと軽快に音が鳴り響き、空から弾丸の雨が降り注いでいく。
魔物たちは、撃たれた弾丸に込められた事象の影響を受け、皆さまざまな死に方を以って輪廻へと向かう。
これこそが、殲滅戦の始まりを告げる音色だった。
11
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる