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DIY、巡礼のち無双

カムロドゥノン その01

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「いくら効率のいい魔術だと言っても、ここまで離れていると苦労するのだ。故にこちらも工夫を凝らし、『生者』の強制送還に対応して使える対抗魔術カウンタースペルを編みだした」

「そんなの作る暇があるなら、国をよりよくする魔術でも作っとけよ」

「それは魔術を習得した後、すでに数種類用意した。余った時間を使って、この魔術を製作したわけだ」

 だから天才は恐ろしいんだ。
 努力だけでは決して超えられないナニカ。
 常人を軽々と超えていく、それだけの才を有しているんだから。

 新しく魔術を創る、という時点でたぶんかなり凄いことなんだろう。
 一から始めるのと零から始める……これは似ているようでまったく異なる。
 一からならば何かしらのヒントがあるが、零からならば本当に暗中模索の状態だ。

 それをサラッと行い、余った時間で高度な魔術を創っているんだから天才は怖い。

「それで、何をしに来たんだ? 集会なら行かないぞ」

「──真面目な話だ」

 これまでの明るい声を潜め、王としての威厳ある声を放つ『騎士王』。
 いつもの声のままならふざけることもできるが、この状態の『騎士王』が相手なら、俺も真面目に受け答えを行う。

「そういう顔は、こっちではやらないと思っていたんだがな」

「急を要するのだ。わざわざ『生者』を国に招いている暇もない」

「……そうか。なら、話を聞こうか」

 少しためを作ると、『騎士王』はすぐに本題を話す。

「──戦争が始まる。『生者』には、それを食い止めるために動いてもらいたい」

「……一個人に頼むには、ちと荷が重すぎやしないか?」

「円卓の騎士も総動員で動く……が、それでも食い止められないものなのだ。魔族が本格的に動き、こちらの領土を支配しようと企てている」

「魔族、なのか」

 エルフの隠れ里にもちょっかいを出していた、あの交渉相手のことか。

 別の場所でも仕事をしているのかな? と思えば……なに、『超越者』の場所にしか仕事は無いのか?

「『生者』には、魔族が連れてきた魔物の軍団を討伐してほしい。倒した魔物の素材はすべて『生者』の物で構わない。ただ、後で交渉してほしい魔物も発見されているがな」

「ああ、そこは要相談にしておく」

「引き受けて、くれるのか」

「おう、こっちにも利がありそうだしな」

 こういった状況ならば、すべての騎士たちが本気で戦闘を行ってくれるだろう。
 その際の戦闘データを解析して、今後の役に立てたいな。

「感謝する──では、掴まれ」

「分かった」

 伸ばされた手を掴むと、『騎士王』が用意していた魔術を起動する。

 そして、俺もろとも移動を行った。

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