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【始まる】面倒事対処 その01【準備】
スレ10 無限級の魔法派生
しおりを挟む翌日も、俺は一人で訓練場の隅の辺りで練習に励んでいた。
魔法が使えるようになったってだけで、それは俺に才能が生えたということになる。
新しく生えたそれも、成長する見込みは無いかもしれない。
──だけど、技の種類ぐらいなら増やせると信じている。
「無、無し、無制限、消費0、弾丸連発……イケる! ──“虚無限弾”!」
指先を銃口として放たれた、ビー玉サイズの大きさの弾丸。
それは真っ直ぐに壁へ向かってい──音を立てることなく、そのまま壁を貫いた。
「……うん、できた。──“原点回帰”」
綺麗に……というか、元通りになった壁の出来に満足して頷く。
そして考察するため、意識的に考えを口から漏らす。
「なんで『無』じゃなくて『虚無』が多いんだろうな。別に使用に影響があるわけじゃ無いから別に良いけど。……それより、どれもこれって魔力の消費が多くないか? たまに0なってるんだけど……」
「──頭痛も慣れたせいか感じなくなってきたし、0になっても魔法は発動するから別に問題はないんだけどさ。もう新しい魔法って感じのネタは浮かばないし……そうだ! 今までのヤツに工夫を足そうっと」
ブツブツと口に出して考えていると、良いことを思い浮かべられた。
……うん、いいアイデアだよな。
「それじゃあ、まずは弾丸からやるか」
ちょうど今開発した新魔法の方が、そのまま浮かんだイメージをそのまま改変できる。
まあ、これまでと違って派生みたいな感じなのですぐに生みだせた──
「貫く、刺突、槍……“槍弾”。
穿つ、捩じれ、螺旋……“螺旋弾”。
弾ける、飛散、炸裂……“炸裂弾”。
掠る、切る、剣……“剣弾”。
弾く、防ぐ、盾……“盾弾”。
弾む、曲がる、跳弾……“跳弾”」
イメージが形になるたびに、指から放たれる弾丸の効果は変わっていく。
──“槍弾”は貫き、“螺旋弾”は穿ち、“炸裂弾”は破壊し、“剣弾”は壁を斬り、“跳弾”は跳ね返り、“盾弾”はこれまでの弾丸を弾いた。
「まずはこれぐらいかな? いや、もう少しイメージが湧いてくる内にやっておこう。天才と違って、いつでも想像力を膨らませられるわけでもないんだし」
……いやまあ、別の意味ならそれなりに湧く気がするけどさ。
===============================
参加者:アサマサ以外
・
・
・
ハルカ:朝政さん、魔法の改変を大量にやってます
異常なぐらい、派生してます
フユツグ:そ、それ、どんな名前だ?
ハルカ:ゼロ・イレイズ・バニシング・コラプス・リミッド……プフゥ
アキ:ああ、アイツもそっちに逝ったのか
これじゃあ魔導師の奴を笑えなくなるな
ナツキ:アイツも変な名前よね
ハルカ:ですが、朝政さんのは効果がその名前にふさわしいものになっています
たとえば“虚無限弾”なんて、魔力がある限り、永遠に弾丸を放ちますからね
そこに派生した魔法で弾丸の効果を自在に変更できてますので、理論上ですが朝政さんはその魔法だけで魔王を倒せます
アキ:まあ、たしかに魔力無限の朝政が放つ弾丸なら……魔王も倒せる威力になるよな
フユツグ:そうなのか?
魔王ってこう……普通は倒せないとか、そういうのは無いのか?
アキ:あ゛? 全然ないぞ
むしろ、力さえあれば誰でも倒せる
ナツキ:アンデットの魔王なんて、弱った状態なら村人が点けた火で死ぬわよ
ハルカ:召喚された直後に、座標を特定してドカンとやれば死にますよ
フユツグ:……魔法って怖いわ
そして、魔王も不憫だな
(ミランダが参加しました)
ミランダ:ふっ、我に隠されし真なる力を用いれば、我が同胞の虚無の力など、容易く使いこなせるわ
ナツキ:うっさい、このクソ厨二
アキ:まあまあ、落ち着いてスルーしろよ
魔導師、虚無属性の魔法って使えるか?
ミランダ:当然のことよ
我が魔導の力を用いれば、斯様なこと──箸で豆を運ぶより容易きことよ
フユツグ:……まあ、外国人にはキツイよな
ハルカ:ふふっ、本当にできるのでしょうか
===============================
◆ □ 自 室 □ ◆
「今日も疲れたな……。無属性の可能性に触れられた良い一日ではあったけど、やっぱりこの虚脱感がな……」
あの後は、もういろいろとやった。
結界とか手から魔力を出して剣状にしたりとか、かめはめ◯とか……もうしばらくは魔法以外のことがやりたくなったよ。
お蔭で魔力が尽きる度に一度体の力が抜ける感覚に襲われた。
……まあ、めっちゃ試していたし、仕方ないと言えば仕方ないんだけどな。
「[ステータス]……ハァ、やっぱり何も変わってないか」
それでも、俺の努力は実らずだ。
ステータスに更新事項は何も無かった。
称号の方を確認してみても、特に何も記されていない。
「女神様、たしか特典くれるって言って気がするんだけどな。俺の目に見えない所で機能しているものなのか?」
創作物において、死んでからその特典に気付く……なんてこともよくあったしな。
女神様の特典がそれに該当するなら、俺がこうして探していても見つからないだろう。
でも、もしそれが死んで戻るループ的なヤツだったら──無知無能で無力無謀な彼よりも、先に進めないまま死に戻りを繰り返しそうな気がするよ。
「明日もまた、魔法の練習か。派生はだいぶやり尽くしたし……次は何をしようかな?」
それでも、できるだけ頑張らないとな。
俺はそう決意して、重い瞼を閉じた。
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