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【異世界学園の】面倒事対処 その04【劣等従者】

スレ50 動画提供者:鎧騎士

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「痛い痛い痛い、マジ痛い!」

 無駄にカッコつけて、訓練場から出てきたわけだが……全身が痛い!
 いくら体を強化しても、まだ届かない領域へ無理に手を出した対価がこれだ。

 骨はまだ無事だが、筋肉の繊維が所々千切れてしまっている。
 すぐさま“虚空庫ストレージ”から自然治癒用の魔道具を取り出し、繋いでいく。

「自己再生なら超回復に繋がるから、とか言われたな。元に戻すよりは、成長した方が俺としてもありがたい」

 成長できない俺ではあるが、あくまでそれは才能の話であって肉体は成長している。
 なので、身体面の成長であれば如実に変化が見受けられるため分かりやすい。

「細胞一つ一つに身体強化、アイツらの言っていたことがようやく分かったけど……その分異常性が感じられてきた」

 特に神速とも呼べる速さで動いたヤツ。
 あれがどうやって、それを安全な形で維持していたのかが気になってきた。

 あとで一度、連絡をしてみよう。

「あの二人、本当に強かったな。対抗戦はあの兄妹に任せて二勝してもらう、そして俺は大将として何もしない……完璧だな」

 光属性は、四大属性よりもレア属性で闇属性と同じくらいに希少価値がある。
 主に加速や浄化、回復などを使うことができる──初撃必殺というやつが可能なのだ。

 光属性による加速の補助を受けた攻撃は、慣れなければ捌くのも苦難のもの。
 俺も反射的に捌けてなければ、もう最初で終わっていただろうな。

「体が認識の範囲を超えて動くと、だいたいこうなるから嫌なんだよな。早くアイツらみたいに完璧な形で動けるようになりたいよ」

 俺が彼らの域に達していないので、こうして自壊が起きてしまう……多少チートな奴らではあるが、それでも決して届かない高みにいるわけじゃない。

「俺自身が意識して動けば、いずれ並び立てる時が来る。そしたら今度こそ言うんだ……絶対に」

 癒えた体を少し動かし、異常が無いことを確認してから移動を開始する。
 サーシャに今回の評価を訊かないとな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

[4点]

「低くないか!? なあ、それ何点中の何点なんだよ!」

 あっさりと送られてきた評価。
 ま、まだ希望がある……と思い、どうにか心を立て直す。

[100点]

「いやいや、低すぎるって! 4じゃなくてさ……せめて、40点だって修正しろよ」

[4/100点]

「変わってねぇ!」

 どうやらサーシャから見て、俺の動きはあまりよろしくなかったようだ。
 点数がそれを物語っているが、しっかりと理由を訊かなければ納得いかない。

「説明してくれるんだよな? 俺、このままだとしょげるぞ」

[分かった。今理由を纏めておく]

 纏める、その言葉に嫌な予感を覚えた。

「……えっと、どれくらいかかるんだ?」

[数が多いからだいぶかかりそう、一時間ぐらい待ってて]

「多くない!?」

 さすが、【武神之魂】などという異常なスキルの持ち主だ。
 俺の悪かった点をつぶさに調べているみたい……だけどさすがに一時間は、冗談だと思う…………たぶん。

 冗談、なんだよな?



「……本当に一時間かけて準備してから説明してきやがった」

[説明乙]

 長い説教ではあったが、それを聞いたことに価値があったと思いたい。
 思い当たることも多かったし、ほぼ間違いないだろう。

「分かった、反省するよ。今度一連の動きを再確認したいから手伝ってくれ」

[わかった]

「あとはそうだな……身体強化の可能性について教えてほしい。頼めるか?」

[了解]

 対抗戦までは少しだけ時間があるのでそれまでにいちおう動きを完璧にしておきたい。

 光属性のスキルにギリギリの対応では、アイツの神速についていくことなどほぼ不可能だし夢のまた夢と言われてしまう。

 ──いつか追いつきたいな、アイツに。


===============================

参加者:アサマサ以外

 ・
 ・
 ・

アキ:と、いうわけで模擬戦の映像だ
[File:■■■……]

ハルカ:カッコイイですね、朝政さん

フユツグ:というか変な武器使ってんな……戦闘狂、お前が教えたのか?

ナツキ:マサがカッコイイのは当然のことよ

ケント:ああ、俺だ
魔法で繋ぐのは教えてなかったが、鎖鎌も混ぜる辺りは俺よりも忍者ぽかったな

アキ:闇魔法を使ってたのはよかった
用意した魔道具を有意義に使用してくれている証拠だ
強度が異常だったがアイツの魔力量からすれば当然か

ユキ:なかなか刀を使わないな

リホ:暗技も

ミランダ:常人に我らが禁呪を見せぬためとはいえ、武術のみで光なる者どもを圧するとは……さすがだ

ハルカ:虚無魔法関連のモノは制御に編みだした物だけ、身体強化も無属性の範疇のモノで収めてましたね

ナツキ:それでもあれだけ細かく強化すれば壊れるわよ
虚無の方でやらなかったのは正解ね

ケント:虚無の方はまだ見たことねぇけど、たぶんノーガードだったら死ぬな

アキ:たぶん、アサマサもそのまま放置されたら死ぬぞ
強化度が異常になるだろうし、骨が粉砕するだけじゃ済まないだろ

ユキ:まだまだ正確さに欠けていたな
制御の魔法とやらも編みだしたばかりで完璧ではないのだろう

リホ:コンバット・プルーフできてない

ミランダ:戦闘証明か、たしかに我が同胞は実戦での使用はあれが最初であったな

===============================

 この後も朝政の駄目だった点が次々と挙げられていく……この内容の一部が、サーシャが朝政へ伝えた駄目だった点と被っていたとかいなかったとか。

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