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【異世界学園の】面倒事対処 その04【劣等従者】
スレ45 図書館で威圧を使ってはいけない
しおりを挟む「──と、いうわけで虚無属性だった」
[何が]
唐突の質問なので、当然の反応だった。
「説明したよな、俺の属性だよ──ぞ・く・せ・い。一つ、気になったことがあってさ」
[何が]
「具体的に……虚無って何?」
教室に戻り、サーシャに相談中。
アキえもんたちもアキえもんたちでいろいろ教えてくれたが、成功者たちの視点でしか情報が集まらない。
なので、頼りになる俺の(普段の)従者兼(学園での)主、サーシャにご登場願ったというわけである。
[?]
「いや、そうなんだけどさ。だからこそ、訊いたんだよ。もしこれが俺の固有属性、とかだったらトラブルになるだろ」
[守ってあげる]
「それもそうなんだけど……いちおう自分のスキルなんだし、理解しておかないと」
ハルカが解析中だが、詳細が分かるのはまだ先だと言われた。
このときステータスについても確認したのだが、はぐらかされたのでこれも不明。
これからは、必要に応じてどんどんステータスを疑っていこうと思います。
「情報を洩らさない頼れる奴が、サーシャしかいない。……どうしよう」
[ともだ]
「おい、なぜ切った。どうして途中でタイプするのを止めた? あれか、俺に友達がいないことを暗喩してるのか!?」
いるもん! 地球にいっぱいいるもん!
全員『あれ、普通?』とか思っちゃうことあるけど、それでも俺の友達だもん!
「そういえば、お前の友達は? いっしょに帰るとかする予定だったか?」
[ブラストもフェルナスも、それにグリアルムもファウルムも、今日は忙しいらしい]
「……友達が増えた自慢か? アァ゛?」
[そのうち、貴方にも紹介する。気配が薄いから忘れられると思うけど]
あっ、やっぱり薄かった?
これもステータスのせいにしたいけど、さすがに違うだろ。
そうしてステータスのせいにばっかりするというのも、昔流行った妖怪のせいにするみたいでやっぱり嫌だな。
うん、魔力のコントロールをより繊細に扱えるようにして、存在感の代わりに使えるようにしよう。
「サーシャ。魔力を一定量、自動的に纏えるアイテムとか無いか?」
[ご都合主義、無い]
「無いか……。放出量を0にするのは得意だけど、微妙に開放するのが難しいんだよな」
地球での日々でも、極限まで自分を自然と同化させるなんてことをやらされたし。
気を練るのはできるようになったが、それよりも気を抑え込む方が得意になった。
だからだろうか、0にするのだけは瞬時にできる。
だが1や5など、セーブをするのがとんでもなく下手になっていた。
全部感覚的にやれば、そのうちできるようになるんだけどさ。
しかしそれも、技として放つ際に放出するものをとてつもなく薄めたイメージをしているからだ。
自分の中にあるものを、体外に出すのに微細なイメージなどしたことがない。
……どうするべきなんだろうか。
「そうだ、隠蔽魔法を創ろう!」
それに気づいたのは、それから数日後のことである。
サーシャの仲介によって、クラスの奴らとも話すことができた。
ただ、最初の魔力による無自覚の威圧のせいか、妙に警戒していた気がする。
まあそれでも、言葉を交わしたという事実が俺を明るくし──今のアイデアを考えつく状況に至らせるのだ。
現在は放課後、しかも図書館の中。
周りから向けられた視線にペコペコと頭を下げ、ルール違反による退場だけはどうにか免れた。
「そうか、光魔法や闇魔法には姿を隠したり気配を消すものがある。なら、全部の基本である無魔法でも……そのさらに先にある虚無魔法でもできるはず」
光魔法なら“幻光”、闇魔法なら“影身”という魔法である。
元があるなら、イメージも簡単にできる。
ちょうどいいし、ここで試してみようか。
「隠蔽……消す、封じる、抑え込む、隠す、纏う──“虚無纏装”」
体に魔力が纏わりつく感覚が発生する。
しかし、それは魔力放出0の状態で隠していた“虚無鎧”であり、俺の発動した魔法によって勝手に具現化しただけだ。
俺のイメージした“虚無纏装”は、自在に発動した魔法を操作できる魔法……いわゆるオプション機能をイメージした。
感覚的にどれくらい魔力を消費して使いたいか、どの魔法を使いたいかをイメージするだけでそれは可能。
さらに、魔法を自動で起動もできる。
「って、気配とは関係ないじゃん」
まあ、これがあれば魔力の放出する魔法を生みだしたときに補助を行える。
それを今、作成すれば良い。
「気配……解放、放出、存在、気づかせる、威圧――“虚無重圧”」
すると、読書をしていた人たちが再びこちらをバッと向く。
慌てて“虚無纏装”で制御を行うと、不思議そうな顔をして元の動作に戻る。
……今の行動は、俺の魔力の解放に反応してこちらを向いたということだろう。
予め解放量を絞っていたので、いきなりこの場所にいる人が気絶することはなかった。
「あとはサーシャを交えて、ちょうどいい存在感を放てるようにすれば……よし、完璧な計画だな」
さてさて、さっそく始めないと。
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