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偽善者と終焉の島 後篇 八月目
偽善者と夢現シリーズ
しおりを挟む夢現空間 生産室
様々なスキルを習得したので、それを使いこなそうと俺なりに工夫したのだが……かなり時間を費やしてしまった。
この島では時間の概念が曖昧になっているとのことなので、俺が一体どれだけの時間を掛けたかを精密に知ることはできない。
まぁ、それを何故か気にしていない俺がいる……なんでだろうな?
余談だが、そういった面倒な法則を眷属の賢い方々は完全に掌握できているであろう。
そうでも無ければ、『多世界』との時間のリンクなんてできるワケも無いしな。
最近はアイテムを創っていることが多い。
自分に足りないものを補うにはそれが一番手っ取り早いし、俺以外の者が使うことができるんだ……貢献や提供としては最適じゃないか?
ダンジョン攻略の景品やこっそりと始めていた貿易、眷属として動いているプレイヤーからの情報を元に用意された困難への対応アイテム等……色々な物を作っている(最後のは殆ど作らないけどな)。
……それに、創作物でみたアイテムの再現が一番やっていることだな。
まぁ趣味なのだが、結局それもギーとドゥルの力になることが分かっているし。
やればやる程力が増えるんだ……なんとなくやる気が湧くぞ。
「しっかし、スキルの中でも夢現シリーズはチートだよな~」
ふと、試していたスキルの中でも異常性の高いスキルを思い出す。
生産中の暇潰しに、よく独り言をするのだ(ここに生産をしに来る者は殆どいない。……脳筋とまではいかないが、せめて料理以外にも興味を持ってほしいものだ)。
夢現シリーズ――それは、俺の全系統に存在する夢現の名を冠するスキルたちである。
特殊スキルに系統を置く{夢現空間}は、今までもその性能を発揮し続けて来た為端折ることにするが、それでも他のスキルの異常性が変わることは無い。
……単純にチート過ぎるのだ。
少しため息を吐いてから、一度見たスキルの詳細を思い出していく――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
武術:{夢現流武具術Lv-}
説明:自身との縁を持つ者が扱える戦闘法を、全て体得・格納可能になる
武具を問わずあらゆる武技を発動可能になる
また、イメージするだけで、それを現実に反映した戦闘を取れる
〔イメージは、明確であればある程威力や効果が上昇する〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
縁とは、廻り合わせという意味の方らしい(うん、アッチだったらヤバかったな)。
能力としては簡単で、関係者が持つ全ての武術・流派・武技を扱えるスキルだ……色々と問題があるが、シンプルに纏めるとこうなるんだよな。
実際、ティル先生の楽しい剣術講座も今まで以上にできるようになっていた……そう、中級をな!
このレア度のスキルを持ってしても、最強の剣士の動きは真似られない。
――本当、敵じゃ無くて良かったよ。
さて、次は魔法――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔法:{夢現魔法Lv-}
説明:自身との縁を持つ者が扱える魔法を、全て体得・格納可能になる
種類を問わずあらゆる魔法を発動可能になる
また、イメージした事象へ名を与えて唱えることで、それを発動できる
〔イメージは、明確であればある程威力や効果が上昇する〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔術でも、魔導でもないらしいな。
アンによると、魔導の詳細な情報さえあればそちらへとアップデートが可能らしい……が、現在習得している者がいない魔導を、俺が扱うことは不可能だしな~。
まぁ、今は説明だな。
殆ど{夢現流武具術}と変わらないが、あらゆる魔法が使えるように再びなったな。
【熟練者】に就いてた頃は気にすることも無かったが、今の俺には才能の壁ってのが存在するし……。
この中で俺が大切だと思うのは、最後ら辺だと思うな。
今までも『合成魔法』で色々とやってきたが、魔法だけならば公式に使い放題になった。
イメージで威力や効果が向上するなら、それなりにやれることがあるしな。
その次は身体だ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体:{夢現記憶Lv-}
説明:夢と現実の境にある領域を使い、自身の持つありとあらゆる記憶を保持可能なスキル
一度何らかの形を通じて知ったことは全てその領域へと記録され、自身の必要に応じて閲覧が可能
ただし、情報の整頓はされない
〔このスキルがある限り、◇◇を行った場合でも記録は保持される〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何でも憶えていられるスキルだな。
ただ、情報が整理できていないようだが……そこは、<千思万考>でどうにでもできるから問題無しだな。
◇◇が不明な状態だが、前にこの隠し方をした称号やスキルを視たことがあるからある程度検討は付く……記録、なんだよな。
さて、次は技能系だ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
技能:{夢現工房Lv-}
説明:型に囚われない、正に夢のような技術を現実へ反映させるスキル
格納していない生産系スキルが必要なもの以外ならば、あらゆるものを創り出すことが可能になる
また、創るものイメージすることで、その手順がなんとなく理解できる
〔イメージは、明確であればある程理解できる手順の幅が広がる〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これと(生産神の加護)を合わせたことで、全ての生産者を敵に回すチートが誕生した。
今まで造ることのできなかった剣の端末も創れるようになったし、世界樹の名を冠した空中艦すら創れる気がするんだ。
……今のところは創る気は無いが。
まぁ、何でも創れるって言われても、あまりイメージが浮かばないんだよな。
だから、せめて少しはそれが湧いてくる趣味的なものだけでもと、俺はひたすら創り続けているんだ。
今度は耐性だな――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
耐性:{夢現反転Lv-}
説明:夢と現実を引っくり返すように、自身を害する影響を利用できるスキル
発動に成功すると状態異常が解消し、自身を何らかの形で強化することができる
ただし、それは状態異常本来の発動継続時間内のみである
状態異常と共通点のある向上効果をイメージすることで、このスキルは発動する
〔イメージは、明確であればある程効果が向上する〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
遂に確率でも何でもなくなってしまった【異常反転】さんである。
簡単に纏めれば、某復讐の女神の第二形態の効果を、自分で自在に操作可能って感じだな……便利である。
状態異常との共通点か、俺に常時掛かっている呪いのイメージ……まだ浮かばないな。
イメージができたら、俺は呪いから解消されるのだろうか。
……でも、これで次の強者に挑めるのか?
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