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偽善者と終焉の島 後篇 八月目
偽善者と自己紹介 その10
しおりを挟む夢現空間 居間
「――と、言うワケなんだ。あのダンジョンコアを用意しておいてくれないか?」
『了解しました。後程、こちらに転送させていただきます』
「……よし。それなら、この話はお終いにして――毎度恒例このお時間、自己紹介ターイムッ!!」
『……遂に来ましたか』
「そうっ! 記念すべき第10回、そのゲストに貴女は選ばれたのです!」
真面目な話は事前に済ませてあるので、この先はいつも通りはっちゃけていこう。
お茶請けとして出しておいた"多分勝つ"的な感じの菓子(青リンゴ味)を一つ口に入れてから、会話を続ける。
「いや~、忙しかったからな。Wifoneとか念話での連絡はちょくちょくやってたけど、実際に顔を会わす機会は滅多に無かったし」
『申し訳ありません。主様がお求めになられた結果を出すとなると、中々直ぐには作業が終わらないもので』
「いいよいいよ。本当は運営をダミーに全部任せて休んでも良いのに、毎日欠かさず点検してくれる……褒めはするけど、怒ることでは無いよ」
本当に真面目な娘だよ。
なんだか、俺の方が黒い会社に就職させている気分にならんでもないが、彼女自身が仕事にやりがいを感じているとのことなので、俺はそれを止めることができない(あれ? それこそ本当にブラックな気が……)。
「……よ、よし! そろそろ始めるか!」
『はい、よろしくお願いします』
祝10回だけど、特に特別なことをやる予定は無いぞ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
『レンです。……アンじゃありませんよ』
「いや、間違えないだろ」
『……いえ、主様への貢献を顧みるに、間違えた? と思う者もいるかもしれません』
「何を!?」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
『女性(ベース)、第四世界、不明です』
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
『髪は蒼銀、目は無機質な金色。あ、髪は腰の辺りまで伸びてます』
「問04:あなたの職業は?」
『【ダンジョンマスター】です』
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
『冷静沈着……でしょうか』
「問06:あなたの趣味、特技は?」
『どちらも、ダンジョン改変です』
「問08:座右の銘は?」
『富国幸民です』
「何となく意味は分かるけど……一応」
『国を豊か、国民を幸せにする為、日々ダンジョンの強化に励んでます』
「問09:自分の長所・短所は?」
『DPがあれば何でもできますが、無ければ何もできないことです』
「問10:好き・嫌いなもの/ことは?」
『好きなものは意味のあるダンジョン、嫌いなものは意味の無いダンジョンです』
「……需要があるかどうか、ってワケじゃ無いんだよな」
『はい。そのダンジョンがあることで、何かしらのプラスな点がある……そのようなダンジョンが好ましいです』
「問11:ストレスの解消法は?」
『ストレスは感じたことがありません』
「問12:尊敬している人は?」
『主様です』
「問13:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
『先程も申しましたように、意味のあるダンジョンです』
「問14:この世で一番大切なものは?」
『主様です』
「そこは、ダンジョンコアじゃないのか?」
『いえ、主様が無事ならば、それも修復可能な気がしまして』
「……否定はしない」
「問15:あなたの信念は?」
『最高のダンジョンを造ることです』
「問16:癖があったら教えてください」
『DPを節約しますね』
「問17:ボケですか? ツッコミですか?」
『ツッコミです』
「問18:一番嬉しかったことは?」
『ダンジョンイベントの際、"偽・世界樹の迷宮"をお使いになられたことです』
「問19:一番困ったことは?」
『未だに"千尋山"が運用されていないことです。……"天魔迷宮"の難易度を上げ過ぎたのでしょうか?』
「眷属がいるし、仕方ないだろう」
「問20:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
『飲めませんね』
「一度飲ませたら……大変なことになった」
「問21:自分を動物に例えると?」
『ここは忠誠心の観点から、犬と例えておきます』
「問22:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
『国民の方々に、『迷宮王妃』と呼ばれましたね。そう、王妃と呼ばれました』
「…………」
「問23:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
『お酒を飲んだ時のことですね』
「問24:あなたの野望、もしくは夢について一言」
『最高のダンジョンには、まだまだ足りないものがありますので……召喚の方、許可を頂きたいです』
「それはもう少し後だな」
「問25:自分の人生、どう思いますか?」
『素晴らしいものだと思います』
「問26:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
『いいえ、ありません』
「問27:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
『国民の方々が助かる為のダンジョンを造り始めます』
「問28:何か悩み事はありますか?」
『そ、その……DPの供給を、して欲しいですね……直接』
「…………(後でな)」
「問29:死にたいと思ったことはありますか?」
『……すいません、今です』
「ゴメンゴメン、後でやるからさ」
「問30:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
『ダンジョンコアである私が、こうして主様と話している今が既に、生まれ変わっていると思いますので、このままで結構です』
「問31:理想の死に方があればどうぞ」
『ダンジョンの価値を認められてから、私のコアを壊されて死にたいです』
「価値は認めるが、死ぬことは許さないぞ。少なくとも、俺の目が(基本的に)黒い間は」
「問32:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
『主様、それはとても嬉しいですね』
「問33:最後に何か一言」
『では、その為にも供給をお願いします』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「カ、カット!! ……本当に、やって良いんだよな?」
『……はい、お願いします』
服を開けさせたレンが、目の前にいる。
俺はゴクリと生唾を呑み込んだ後に、その綺麗な肌に触れて……熱いものを流し込んでいった。
――眼福だったとだけ伝えておこう。
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