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偽善者と終焉の島 中篇 七月目

偽善者と特殊フィールド 前篇

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夢現空間 居間


「――今更だが、他の強者ってのは何処にいるんだ?」


 そういえば全く知らなかったので、丁度その場にいたグーに尋ねてみる。


『結論だけ言うと、四人は、マスターが行ったフィールドとフィールドの間にできている結界の中にいるよ』


 チャイティーを優雅に啜りながら、グーはそう答えてくれた。


「フィールドの間? →↓とか、斜めに歩けば行ける……ってワケじゃ無いよな?」

『勿論だよ。特殊フィールドに指定されるからね。行くにはそれなりの準備ってものが必要なのさ』

「準備?」


 "収納空間"から茶請けの菓子と『おぉい玉露』を取り出し、卓袱台の上へと並べる。


『なんらかの条件を満たすことで特殊フィールドに入れるようになるんだけど、終焉の島の場合はその条件とプラスして、それぞれのフィールドの外側に位置する結界の解除にしてあるんだ。本来なら強者達を解放するのは無理だから行けない筈なんだけど……』

「……行けるな」


 終焉の島に来てからの俺の所業を振り返ってみると……うん、思い当たることが沢山あるよな。
 眠り姫を叩き起こして、魔獣を洗脳と鎖から解放し、アンデッドを操る魔王に感情を押し付けたり、学者のゴーレムに殴られたりと盛り沢山である。


「……そういえば、四人・・はって言ったよな。残りの四人はどうなんだ?」

『大まかな場所は分かっているけど、そこへの行き方がまだ分かっていないよ。マスターには、先にフィールドの間で封印されている強者達に会うことをお薦めするよ』

「そっか、ありがとな」

『だ・け・ど、ちゃんと僕達を呼ぶんだよ。武具から呼び出せるんだから』


 目の前にいるグーなど――俺の眷属の大半は、"機巧乙女"という仮初の肉体を使い、俺と行動を共にしている自我を持つ武具だ。

 その特殊な存在だからだろうか。
 意識を武具と人形の間で自由に切り替えられたり、武具のある場所に、人形を転送したりすることが可能らしい(ただし転送には俺の意思が必要らしく、俺が気絶していると思ったリュシルの時には、代わりとなる転移アプリを使おうとしたって訳だ)。

 グーは耳はピンッと立てながら、俺にそう言ってくる。
 ……ケモ耳の素晴らしさ、いつ見ても何度でも見ても分かります。


閑話休題モフモフレンズ


 バリボリ カリカリ

 ポテチや幼星ベ○ースターを食べながら、会話を続けていく。


「……グーさん、結局その特殊フィールドに入るには、一体どうすれば良いんだ? 入る条件が分かっても、入る場所が分からなければ意味が無いと悟ったんだが……」


 もし、そのまま"最果ての草原"に向かって行ったとしても、結局のところは何もしないで戻って来てしまう。
 だって、どうやれば入るのかが分からないからだ。
 探せば出てきそうだが、この島のフィールドは広い。
 闇雲に探すよりは、訊いた方が早いだろう……と思ったのだが――


『さっきも言ったけど、フィールドの間と間ということしか分かっていないんだ。だからこそ、色々な準備が必要だと言ったんだよ』

「……そうか」


 グーも分からないらしい。
 特殊フィールドは、隔離された空間のように他との繋がりが断たれている為か索敵系のスキルやマップも通じないらしく、ここ以外のフィールド(つまり、昔居た場所)でも、特殊フィールドを見つけるのは困難だそうだ。

 俺は茶請けが無くなったので、新たにチョコのボールを出して、それを食べていく。


「次の強者、四人の中で一番反応が弱いのは南西だよな?」

『うん、その通りだよ』

「ま、四天王の中で最弱的なことは起こらないし、起こったとしても普通の人々が勝てなかったからこそ四天王をやってた……的な感じで、俺では歯が立たないと思うしな」

『まぁまぁ、マスターが裏でこっそりと連れて来た強者達に指輪やら愛やらをプレゼントしていたのは周知のことだし、僕達のサポートもあるから大丈夫だと思うよ』

「……最初を言う必要あったのか?」

『全然。全くこれっぽちも無かったよ』


 ……というか、やっぱり盗聴なのか。
 【神出鬼没】で隠れて行ったんだが、やっぱりバレていたか。
 神魔とかと契約してたあのハーレム学園物の好感度を見る指輪があったならば……全員の魔法が使える状態にまで、俺のハーレムは育っている(イアにあげたのは、それを再現した物だぞ)。

 ……にしても、全員が全員便利なスキルを共有できるし、俺のアプリのハッキングも完了しているし……盗聴方法が多すぎるな。


『マスターの奉仕のお蔭で、僕達も喜ぶ、マスターは女の子達からステータスの強化をして貰って喜ぶ……WinWinじゃないか』

「ま、能力値の補正はセイとリア、フェニとガーの分しかないけどな。後、分かってるんだから、まるでステータスの強化だけが目的みたいに言わないでくれよ」

『ゴメンゴメン、それを盗聴していた僕達がどんな気持ちになっていたか、考えて欲しいと思っただけだよ』

「盗聴された側に求めることか? 俺……というか青少年ができる限界までは、やっていると思うんだが……」


 ……桜桃にはマジでキツイです。
 やることはやるけど、ヤるのはまだ早いと思います。


『もっと先へ、加速したくはないかい? マスター』

「俺は銀の烏君じゃ無いから、今のままで充分です」


 それからも、二人で会話を続けていた。


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