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偽善者と終焉の島 前篇 六月目
偽善者と『不死魔王』 その08
しおりを挟む『わ……吾は一体……』
「目が覚めたようだな、ネロマンテ」
『お、お前は。それにこの状況……お、思い出したぞ! 貴様ーーッ!!』
少し話すと自分の状況を理解したらしく、俺に怒り始めた……やれやれ、お前だって似たようなことを散々やってきただろうに。
「まぁ、そんなことはどうでも良いだろう『ふざけるなっ! さっさと外せ!!』……煩いな、静かにして貰うぞ(――"不明の威圧")」
『――ッ! …………』
俺の持つ威圧系のスキルを全て束ねて創り上げた能力であるが……効果はあったようだな。ネロマンテは威圧への抵抗に失敗し、沈黙することになった。
「先に言っておくが、お前のステータスや記憶は既に確認済みだ。はっきり言って、今お前が生きているのは当初の目的を果たす為でしかない。もしそれすらもできないと分かったら……お前はどうなるんだろうな」
『…………』
やっと静かになりました……静かになるまでに30秒も掛かりましたよ。
そう、あまりに暇だったのでネロマンテのステータスはばっちり視た……折角なので、スキルをLv有りと無しで分けるサービス付きでどうぞ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ステータス
名前:ネロマンテ・ガイスト (無)
種族:不死族 Lv40
職業:【不死魔王】 Lv72
状態異常:恐慌
HP:4000/4000
MP:3776/180000
AP:11108/32000
STR:8000/-4760/
VIT:20000/-4760/
AGI:5000/-4760/
DEX:10000/-4760/
INT:60000/-4760/
LUC:100/-4760/
/状態異常/
スキル
Lv有り
(魔拳術)(死魔法)(痛覚緩和)(生体感知)
(異常無効)(部位欠損ダメージ無効)(魔力化)
(魔力操作)(暗視)(並速思考)(並列行動)
(気配遮断)(使役)(調教)(上級鑑定)(超解析)
(人スレイヤー)(魔物スレイヤー)(竜殺し)
(英勇殺し)(禁忌魔法)(無詠唱)(魔法強化)
(連続魔法)(魔力吸収)(斬撃耐性)(刺突耐性)
(人族耐性)(魔族耐性)(魔法耐性)(環境耐性)
(呪耐性)(全属性耐性)
Lv無し
(魔障生成)(魔力接合)(骸骨の天敵)
(死霊の天敵)(魔粘体の天敵)(動死体の天敵)
(魔物の天敵)(普人の天敵)(森人の天敵)
(獣人の天敵)(人類の天敵)(竜の天敵)
(殲滅者)(魂魄眼)(殴打脆弱)(日光脆弱)
(火炎脆弱)(神聖脆弱)(英勇脆弱)(冷気無効)
(雷電無効)
固有
【不死魔王】
\【死霊魔法】(死霊空間)(不死)…………
〔祝福〕
〔(冥神の加護)(死霊神の加護)(死神の加護)
(骨神の加護)(探求神の加護)(闇神の加護)
(研究神の加護)(■■■の注目)〕
〔呪い〕
〔(太陽神の嫌悪)(光神の嫌悪)(煌神の嫌悪) (聖神の嫌悪)(命神の嫌悪)(普人神の嫌悪)
(森人神の嫌悪)(獣人神の嫌悪)〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――まぁなんとも酷いステータスだよな。
(異常無効)なのに"恐慌"になっているのは置いておくとして、天敵系のスキルがありすぎるだろう。このスキルは一つの集団を丸々滅ぼしでもしない限り手に入らない筈のスキルだ(俺も始めた頃、野生のゴブリンや桃兎を殲滅して手に入れたのだが、かなりの数が必要であった)。
そんな天敵スキルが上位の物も含めると十個も存在しているのだ。これだけでも業を裁くスキル――【断罪者】を使うことで即死させられそうなのだが、ネロマンテの業を最も高めているのは、それではなくこちらだ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その他:(英勇殺し)
英雄や勇者を倒した業深き者が持つスキル
倒した英勇の数分ステータスを向上させる
〔倒した英勇の強さによってLvが上がる
また、Lvが上がる程業値の上昇率も上がる〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――英雄と勇者で英勇。どっかで聞いたことのあるようなネーミングセンスであるがそこは置いておこう。
このいかにも罪深そうなスキルは、先程回収したゾンビさん達にも関連のあるスキルである。
この世界においてどの職業が英雄扱いされるのかは分からないが、少なくともヒーローさんはそれに当てはまっただろう……フーラとフーリも当てはまるよな、気を付けて貰わないとな。
おっと話が逸れたな。ネロマンテの記憶を漁っている時、自称勇者達がネロマンテを退治しに来たことがあった。本来魔王は(英勇脆弱)という主人公に殺される為のご都合主義的なスキルを持っているのだが……ネロマンテはまぁ、その話を纏めただけで軽い小説が書けるんじゃね? っていう位の長さの行動の末、勇者達を撃退に成功したりしていた。
――今、話すことでも無かったかな?
「……さってっと、お前はどうやったら苦しむかを考えてみたんだが、普通の学生が拷問とか知ってたらむしろ引くわな……と、いうわけで俺から一つの提案があるんだが」
『……言ってみろ』
「お前が魂魄を強化したい理由は分かった。俺は偽善者だからな、お前のそれの手伝いをしてやる……魂魄を強くしたんだろ?
――俺の眷属になれ。
そうすればお前は、お前の求める物を見つけることができるだろう」
『……そんな旨い話がある訳が無いだろう』
「もちろんタダなわけ無いだろう。俺はお前に【憤怒】してるんだからな。
……お前には、{感情}を学んで貰う。今のお前には足りない物、俺がそう考える物を手に入れるにはそれが一番だからな。具体的なことは今は置いておくとして……どうだ?」
俺がそう言うと……
『吾がそれを受け入れたとして、本当に吾の魂魄を強くなるのだな』
「あぁ、(契約魔法)に誓って保証する」
『あの魔法か……まぁ良いだろう。例えお前が何をしようと吾には何も影響は無い。お前が意味も無いことをするだけで、吾は魂魄を強くできる……悪くない提案だ』
「交渉成立だな。なら、今から眷属にするからそれを受け入れろ」
『どうとでもするが良い』
ネロマンテがそう言うので、俺はネロマンテのローブの中に手を突っ込み、"眷属化"を発動させる(骨だからスッカスカだった)。
『……ぅぐっ』
ネロマンテはみんなと同様に、"眷属化"の影響で気絶して倒れる。
再び暇になった俺は{感情}を学ばせる為の能力を発動させてから、ネロマンテの記憶に使える物が無いかを探し始めた。
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