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偽善者と終焉の島 前篇 六月目

偽善者と模擬戦 後篇

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 剣と盾がぶつかり合い、一瞬の硬直ができる。その隙を狙って何かが高速で飛んでくる……が、それに気付いていた俺は、その何かへ向けて(塵魔法)を使って塵に変える。


『あぁ! 気付かれないと思ってたのに!』

「気付かれたくないなら、飛行音と魔力を0にして体温を空気と同じにしてから死角を狙わなきゃ駄目だぞ!」

『そんなことできる虫なんて創れないよっ!』

「ははっ、それもそうだ……なっ!」


 会話の最中に飛んできた紅と蒼の雷を、今度は(歪曲眼)で別方向に飛ばして回避する。


「フーラ、フーリ! 同時に使うなら、一気に対処できないように撃て! これじゃあ纏めて処理できてしまうぞ!」

『……『はいっ!』』

「そしてレミル、時間を稼ぐ為に防いでいるなら、相手に周りへの警戒をさせるな。それができるだけで戦略の幅がだいぶ広がる。いつでも隙を狙って攻撃をしろ! 攻撃は最大の防御だ!」

『分かりました!』


 ここまでの会話である程度理解できていると思うが――現在俺はミント、フーラ、フーリ、レミルと模擬戦をしている。……え?  リョクとの勝負はって? うん、かなり激しいものとなったよ。完全に"憧憬転写"を使いこなしていたリョクは、身体能力を引き上げて俺と闘っていた。
 (鬼氣)の扱い方に苦労していたので、ついでに教わったりしていた所為か、だいぶ時間が掛かった(前回因子を使った時に(鬼火)を入手したのは、俺では無くディオであった為、俺自体は使い方を知らない……というかどうやって知ったんだろう)。
 手取り足取り教わっていたのだが、そこに乱入者――武具っ娘達が来たので、彼女らのご機嫌を宥めるのに一番精神を使ったよ……本当、何でそんなに怒っていたのだろうか。
 そしてそれが終わった後――つまり現在だな、次の相手を募集したのだが――


『メルス様、複数でメルス様と戦うことは可能でしょうか?』

「ん? 別に良いけど……。レミルは誰と一緒に俺に挑むんだ?」

『では……残っている私達全員と』

 コクコク×3

「……(かなりキツイな―)。あぁ、良いぞ。纏めて相手してやるよっ!」


 ――なんてことがあったので、今俺は4vs1で戦っているのだ。本当、弱音を吐けないのが辛いんだよー! みんな強過ぎるだろ! ダンジョンのフロアボスに二人の【英雄】、それを守護していた使徒が相手だぞ! 余裕なんて持ってまま勝てる訳無いだろうが! (あ、リッカは戦わないそうだ)


("地形変化・火山")


 【箱庭作り】で地形を作り変えて状況を書き換えると、俺の周り半径500mが火山に変化した。
 吹き上げる熔岩にレミル達も少し驚いていたが、隙は一瞬しかできず、普通ならば問題無かった。
 だがそんな一瞬の隙は、時間を加速できる俺にとってはとてもデカい隙となる。
 俺はレミルから距離を取り、上空で魔法を発動させる――


(――常駐型"火山雷(ボルカニックサンダー)")


 発動に少し時間の掛かる<常駐魔法>を詠唱する時間があったので、"火山雷"を長時間発動できるように仕組んだ。
 火山雷は、静電気によって発生する物である。岩の破片や火山灰、細かい氷の粒――空気中の水蒸気がそれに当て嵌まるのだが、それだけでは物足りない。
 俺は、そこに【科学魔法】を組み込むことで威力を高めることに成功した。俺自身にも細かいことは理解できていないのだが、【科学魔法】を使うことによって、静電気の発生率を高め、そこに魔力を籠められるように改変できたらしい。

 また、<常駐魔法>によって魔法は通常より長い時間発動できる。
 火山雷は存在すれば存在する程、周りの水蒸気を集めて威力を増していく、それに魔法による相乗効果を加えたら、その雷はどれほどのものになるだろうか……。


 その結果が目の前にあった――

 荒レ狂ウ稲妻       降リ注グ熔岩        SEKAIN0OWARI

 ――を再現したかのような景色が、そこには存在していた。
 だが、彼女達は諦めずに火山雷の中で俺への反撃のチャンスを窺っている。
 ……ま、それは無理だけどな。


「ドゥル……行け!」

《仰せのままに、我が王マイロード。全遠隔兵器を展開し、対象への攻撃を開始します》

「やりすぎるなよ」

《……仰せのままに》


 何故に躊躇った。
 今俺は、(擬似人格)に残りの戦闘を任せることを決めて指示をしていた。
 俺自身が彼女達を直接見つけようとしたなら、勢いのままに攻撃をされかねんからな。
 折角なので、遠隔兵器を使って攻撃を試してみよっかな~という考えが浮かんだ俺は、そのアイデアを実現する為に即行動を起こしたと言う訳だ。
 しかし、統率者=duxtor≒ドゥルは安直すぎたかな? 俺の武具の大体を統率していることに変わりはないから、そう言う呼び方をしているのだが。
 まぁ、ドゥルはしっかりと働いてくれているみたいだけどな。俺には、先程からドゥルの行動結果が送信されている。


《"リセルカ"によって、対象4人を全て捕捉しました》

《それぞれに、"フルマイン"、"フルグラ"、"フランマ"、"ペークシス"を向かわせます》

《戦闘開始…………対象の戦闘能力の上昇を確認、許容範囲内の物と認識します》

《対象からの攻撃を確認、これより迎撃を開始いたします》


 最後の言葉と共に、俺の周りの四か所で激しい戦闘音が鳴り始めた。先程の火山への地形変化で全員がバラバラになっていたのか?
 しっかし、まさかドゥルがここまで好戦的だとはな。完全に戦うチャンスを狙っていただろう。……本当にあまりやりすぎないでくれよ。


《理解しております……半殺しで宜しいのですね?》


 宜しくないよ!!


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