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偽善者と終焉の島 前篇 六月目
偽善者と説明会 前篇
しおりを挟む「――と言うことがあって、俺はユラルと契約して、聖霊使いになったんだ」
そう言って、俺は先程まで開いていた薄い本を閉じて説明を一端終わらせる……そこだけ聞くと、色々と危ない気がするな。
先程まで開いていたのは、図書館で作った終焉の島での経験を纏めた本だ(説明に必要かな? ということでグーに頼んで取ってきて貰った)。
――この島に来てから、色々なことがあったと思うよ。
ステータスを見たら、能力値は約70%OFFになっており、スキルは個有スキル以外全て使用不可。職業スキルに至っては、未だに帰ってこない(職業が一つは無いと復元は無理らしい。色々と便利だったのに)。
勝手に転生させられた種族――[不明]は、昔集めてた因子を使う謎の種族だし、スキルの一部を使用してみたらスキルから人格(アン)が生まれるし、【天魔】のスキルを使えるようになる……{感情}とは別方向でチートである。
[不明]チートは留まる所を知らなかった。
使用不可にされたスキルをどんどん取り戻し、因子を使って新規スキルも増っし増し。
現在では、スキル使用不可にされたんだっけ~、とボケるぐらいには色々なスキルを所持している。
俺自身の説明はこんな感じだった。
――まぁ、大切なのはこの後だしな。
そんなこんなで色々とやっていた俺は、森の中で謎の少女の声を聞く。辺りを見回しても全然見つからなかったが、[不明]が良い仕事をして、その正体である樹聖霊を見つけることができた。
彼女は自分が強力なスキルを持っていた所為で故郷を追放されてここに来たらしい。そして自由に行動する為、契約者を探していると俺に伝えてきた。最初は無視して帰ろうかな~と考えていたんだが、偽善者として困っている人を助けないのはどうなのかな~ってことで、彼女に"ユラル"という名を与えて契約をしたのだ。
閑話休題
最初に質問をしてきたのはフーラだ。
――だけど、質問は俺にではなくユラルにらしい。
『えっとー、メルス様が聖霊使いかどうかは置いておくとして……ユラルさん』
『……え? な、何かな?』
何やら慌てているようだが、俺としては職業のことを置いとかれた事がショックだ。常時空にされているから確認はしていないが、絶対なれると思うんだよな~、聖霊使い。
……おっと、集中集中。
『ユラルさんは、メルス様と契約をしたのですよね? それも……主従契約を。確か昔見た物語では、聖霊の主従契約の方法は……』
『ふふふ、フーラちゃん!? おお、お願いだからそれ以上はメルスンの前では……』
『……うん、今ので大体分かりました。……私達はまだして貰って無いのに(ボソッ)』
『……ずるい』
ユラルの顔は真っ赤になっている……多分だが、その契約方法とはあの時のキスだったのだろうな~。
あの時の俺は、柄でも無いことを言って、ユラルを困らせたりもした気がする。ま、俺からそういったことを頼むことは、ほぼ無いと思うがな。
……というか姉妹よ、年頃の女の子が求めるんじゃありません。後で殺されるじゃないか……君達のお母さんに。
「はいはい、他に質問のある奴はいないか~? ……うん、いないな。じゃあ、ユラルと会って以降の話をしようか」
そう言って、再び薄い本を開く……実際、俺の終焉の島での生活は、軽い小説で纏めようとしたら、スタジオDN○の小説分ぐらいしかないからな。
閑話休題
[不明]チートが使用不可のスキルを全て復活させ、少し腕試しがしたいと思った俺は、この島にいる12人の強者の内、最も気配が弱いとされる者がいる東のエリア最奥に向かった。
最奥に存在した結界を潜り抜けた先には、茨で覆いつくされた城が存在していた。
城の中を調査するとそこには、魔女によって永い眠りに就いた、一人のお姫様がいた。
お姫様は魔女の呪いによって半永久的に眠り続けることに気付いた俺は、彼女を起こす為に、彼女の夢の世界に侵入したのだが――
「――それがまぁ、バッサリ断られたよな」
『うぅ、あの時は目的が無かったんだよ』
と言うように、一回目の交渉はあっさりと失敗した訳だ。
それから色々あってなんとか彼女の本心を暴く所までいったのだが、二回目の交渉をしている最中で現れたのは、彼女に呪いを掛けた魔女――マレフィセントであった。
魔女は運命神が俺に気付いたと言っていたなどと言っていたので、運命神は俺達の敵確定だな。フーラやフーリ、レミルもみんな関わっているしな、うん。
とにかく、魔女は龍(以降は魔龍と呼称)に変化して俺と戦闘を行った。
魔龍はとても強く、普通の状態では勝つことができなかった。なので俺は、[不明]チート戦闘版――(異端種化)を発動させて魔龍に対抗した。
何故かその時に、武器として召喚したギー……というか神器を欲しがるということもあったんあ。……必要なことがあったのだろうか、神殺しとか。
激しい戦いの末、魔龍は俺の最後の一撃の前に敗れた。
そして三度目の交渉――その答えは、俺と共に外に出るというものであった。
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