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偽善者と終焉の島 前篇 六月目
偽善者と慣らし 前篇
しおりを挟む修練場
『……メルスン、大丈夫なの?』
「あ、あぁ。なんとか、な」
『……体が埋まってるじゃないか。そこから出れるかい? 引っ張ってあげようか?』
「大丈夫大丈夫。こうやって少し力を籠めれば……」
……チュドーーーン!!
『メルスーーン!』『メルスッ!』
やぁ、メルスです。
最近は反作用の力が強く働くようになったのかな? 少し力を入れただけで、修練場の端から端まで吹っ飛んじゃったよ。……え? どうしてそんなことになったかだって? それは少し時間を戻せば分かるよ。
ちょっと前
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……と言う訳で二人には、俺が今のステータスに慣れる為の練習に付き合って貰う」
『良く分からないけど分かったよ。どうやって手伝えばいいの?』
俺は修練場に歩いている最中に呼び出した二人――ユラルとリアに説明をする。今回修練場に来たのは神眼を試すことともう一つ、俺の異常な程に補正が掛かったステータスをある程度制御する為でもあった。
その為、元々高めのステータスを持っていた二人に、全力使用時の制御を手伝って貰うことにした(通常時ならば、リーの(実力偽装)でなんとかできるが、本番で困るしな)。
「軽く模擬戦をしてくれれば良い。そうすれば、ある程度体が馴染んでくれるだろう」
『うん、理解した。なら早速始めよう』
ユラルの質問にそう答えると、リアもやることを理解してくれたみたいだ。二人は俺から少し離れた場所に移動して、それぞれの武器を取り出した……地面から。
二人の戦闘スタイルは似ている。地面から生やした植物が相手に攻撃している間に、自分が魔法を発動して遠距離攻撃。違う所といえば、どの植物を使うかだろう。ユラルは基本的に樹木を操り、リアは草花を操る……ここら辺でだいぶ変わるんだけどな。
さて、なら俺もそろそろ準備を始めるとするかな?
俺は先ほど創った武具庫の指輪から、ATKが0になる刀剣を取り出す……呪武具だな。代わりとして精神に直接ダメージを与えられる機能もあるが、今回は使わないぞ。
そして、今まで常時発動していた(実力偽装)を解除する。……特に変化はないな。
「それじゃあ行くぞー!」
そう言って、脚にほんの少しだけ力を籠めて地面を蹴る……だけだったのに――
……チュドーーン!!
「『『…………え?』』」
俺は物凄い勢いで彼女達や植物をすり抜けて、修練場の壁に突っ込んでいた。余りにも一瞬の出来事であった為、俺自身にも理解ができなかった。壁の結構深い所に突き刺さってしまったのか、中々抜け出せない。
……二人が俺を心配して、こっちに来ているのが、気配で分かる。
ペタペタ ペタペタ
『……メルスン、大丈夫なの?』
「あ、あぁ。なんとか、な」
ペタペタ スベスベ
ユラルが体に触りながらそう聞いてくる。……て、どこ触ってるのさっ!
『……体が埋まってるじゃないか。そこから出れるかい? 引っ張ってあげようか?』
「大丈夫大丈夫。こうやって少し力を籠めれば……」
しばらくしてから、リアにそう聞かれるが……これ以上いたら、俺の体が危うい。そう考えて、先程よりも弱めの力で壁から抜け出そうとした――
……チュドーーーン!!
『メルスーーン!』『メルスッ!』
やぁ、メルスです。
最近は反作用の力が強く働くようになったのかな? 少し力を入れただけで、修練場の端から端まで吹っ飛んじゃったよ。……え? どうしてそんなことになったかだって? それは少し時間を戻せば分かるよ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そう、こんな感じで話は元に戻るのだ。
力を弱めただけあって、今度は深く嵌っていなかった。このままでは練習もできないので、(実力偽装)を再び発動させて、脱出することになった。
……うーん、何とかならないのかな?
そんなことを考えていると、いつものアレが発動した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(適応)が発動されました
対処法をお選びください
・スキルによる弱体化
・肉体改変による適応
・新たなスキルの創造による適応
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……選択肢が出たのだが。特に2つ目、肉体改変って、改造じゃなくて改変!? 全くの別物になっちゃうの!? ……これだけは、絶対に駄目な選択肢として、残りは二つだな。スキルは……うん、またチート? が増えるだけだし、弱体化でお願いします!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スキルによる弱体化が選択されました
……成功しました
<他力本願>を発動し、(実力偽装)を[不明]を制御下に置きます
以降、制御できる限界値での(実力偽装)を常時発動します
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少しビビりながらも、力を籠めて壁を抜け出す。……今度はギャグマンガみたいにならなかったな。
だけど、今のステータスは一体幾つなんだろう……って〔881〕? ヤバいのはこっちなんだよ!? 数値さんが一々教えてくれなくても分かることなんだからな!
「……ま、今後の課題は、扱える限界値を上げて行くことかな?」
881を斎藤さんにしたいかな? そんな事を考えながら、俺は未だに壁の所で思考停止中の二人の元に歩いて行くのであった。
……あ、神眼使って無いじゃん。
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