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偽善者と終焉の島 前篇 六月目
偽善者とパクリだらけの生産
しおりを挟むAM8:00
アンのヒモ男宣言をした後、生産活動を行う為、"収納空間"に入れた置いた生産道具を取り出して色々な物を創ることにした。
最近は忙しくて、そうしたことを中々できなかったしな。アイデアは浮かんでいたが、時間が無かった。そんなアイテム達を今日は創ろうと思ってる。
さ~て、いっちょやってみますか!!
生産中
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(技能者の指先)の復元に成功しました
(上級錬金術)の復元に成功しました
(上級調合)の復元に成功しました
(上級鍛冶)の復元に成功しました
(上級耕作)の復元に成功しました
(上級裁縫)の復元に成功しました
(上級採掘)の復元に成功しました
(上級木工)の復元に成功しました
(上級採取)の復元に成功しました
(上級料理)の復元に成功しました
(上級建築)の復元に成功しました
(機械操作)の復元に成功しました
(機械製作)の復元に成功しました
(解析)の復元に成功しました
生産終了(物理)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
PM20:00
『……ス、……ス』
確かに、個人用戦闘装甲は男のロマンなのだが……。種類が多すぎて決め辛いな。
『…ルス、……ルス!』
いやだけれども、歩く火薬庫も良いんだよなー。こう、全展開! とか、一度で良いから言ってみたいし。
『メルス、いい加減気付きなさい!!』
「……ん、おぉリーか。どうしたんだ?」
『どうしたんだ? ……じゃあ、無いわよ! 一体何時だと思っているの!?』
え、そういえば何時なんだろう……って、もう8時かよ。まだ少ししか創って無いのに、時間は半日も経ってるやん。
『……と、いうかメルス。貴方、(時空加速)と(物理加速)と(並速思考)を使いながら作業してましたよね? なんでそんなに不満そうな顔をしているの?』
確かに使ってたけどさ~。それでもまだまだ創り足りなかったんだよ~。
「いや、まぁ、良いんだ。……そうだリー。折角だし、俺の創ったアイテムを見て行かないか?」
『メルスの創ったアイテム?
(生産神の加護)を持っているみたいだし、是非見てみたいとは思うけど……』
「いや、それを理由にされても困るんだけどな。まぁ、加護自体が残っていたから、これだけのアイテムを創れたんだけどな。……よし、まずはこれだ!」
俺は、近くにあったインカムを取り出してリーに見せる。耳の穴の中に入る小さいサイズのヤツだな(透明化機能付き)。
「これは"栗鼠のインカム"と言って、耳に付ければいつでも他の付けた人とどこでも(念話)ができるようになる魔道具だ。(念話)が届かなくなるこの場所みたいな所でも、理論上は使えるようになるぞ」
『どうやって使うの?』
「ん? なら試してみるか」
と、いう訳で早速リーと試してみることにした……のだが。
「よくよく考えたら、こんな近くで話しても意味無かったな」
『《……そういえばそうよね》』
目の前と耳元から音声が二重に聞こえてくる。……いや、成功しているのは間違いないから良いんだけどな……うん。
「……よし、気を取り直して次はこれだ!」
今度は、金色の雲を取り出してみる。
何だか何処となく、クルンッと渦を巻いているようなデザインだな。
「この雲――筋斗雲は、(神氣)とか特別な氣のスキルを持っている者が乗ることができる雲だ。乗れば超高速で移動できる便利な乗り物……に成る筈だった」
『って言うってことは――』
「言葉通り、超高速だった。この筋斗雲、秒速六万kmで動くんだ。しかも減速不可」
『それは……無理よね』
「うん、そういうことだ」
まぁ一応策はあるんだが、失敗したら死ぬなんてことがあったら嫌だしな。
「さぁ、お次はこれだ!」
今度は一本の長い刀と短い小太刀を取り出して見せる。意匠もアニメーションでしっかりと見たからな。鞘や鍔、柄はできるだけ再現をしてみたぞ。
「今度のは……うん、パクリだな。名前は言えないけど、魔物だけを殺す妖刀とその妖刀で斬った魔物を再生する小太刀だ」
『パクリって認めてるわね。でも、それを使う機会なんてあるの?』
「前に同じようにパクリから創られた双槍を使ったことがあったしな。俺が考えた武具より、パクリで創った武具の方が強いことが結構あるんだ。イメージ力の問題かな?」
『……かなり虚しくない? オリジナルよりパクリの方が強いって』
「いや、強ければ良い。正直そんな建て前を考えていると、勝てない相手の方が多い気がするからな」
『そ、そういうものなんですね』
リーがいつもより優しい気がする。
……うん、優しい人なら分かる筈のクイズでも、優勝を狙えそうな優しさだな。急に敬語に戻ってるし。
「リーの優しさが心に染みたパクリ編は忘れるとして、最後はこれだ!」
最後に取り出したのは、服だ。ただし――
『あの、何も見えないんだけど』
「ふふ、これは俺を慕っている奴にしか見えない、最強のアイテムだ」
『え、えぇ!……た、確かに良く見れば凄そうな「と言うのは冗談で、実はこれ透明な服なんだ」……~~~~~~~~~~~~!!』
――透明な服だった。
リーに軽い冗談を言ったのだが、急に怒り始めたな。確か、俺のノリに途中まで乗ってくれたのは分かったんだが。……グーが用意したという知識の中に、まさか裸の王様まであるとは。お蔭で、誰にネタを振っても答えてくれそうだな。
『……ふ、ふぅ。で、どうしてメルスはそんな服を用意したの? そのままだと、貴方は露出狂じゃない』
「あぁ。これは着た瞬間に、着た者の魔力を吸って色が付いたりするから問題ないぞ。それより、これは俺の創った"天魔の創糸"から手編みで編んだ服なんだ。だから、普通の鎧なんかより遥かに硬い服だぞ」
『そ、それは職人泣かせの装備ね』
「あぁ。でも、お前らの服も大体同じくらいの硬さを持たせてあるぞ。材料は別だが」
『……一体、何を使っているの?』
「神鉄鉱石とかだ。糸状に変えただけだが」
それを聞くと、リーが思案顔になる。
『……そういえばメルス。貴方、どれだけ神鉄鉱石を持っているの? かなり使っていると思うんだけど』
「あ、それは簡単の理由だぞ(――"オリハルコンウォール"+(具現魔法)=神鉄鉱石の壁)」
『ッ! いきなり出さないでよ! ビックリするじゃない!!』
「まぁまぁ、とりあえず今見せたように【鉱魔法】で神鉄鉱石の壁を創って、それを(具現魔法)で世界に固定化したんだ」
『成程……それはかなり反則ギリギリの方法ですね。物流が色々と不味いことになりそうですよ、それをしたら』
「大丈夫、眷属の為にしか使わないから」
『なら、大丈夫ですね。……さぁ、そろそろみんなで食事をしましょう!』
「……そうだな、良し行くか!」
少し遅い夕飯を食べてから、俺は今日という一日を終えた。
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