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偽善者と終焉の島 前篇 六月目

偽善者と状況確認 その04

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 俺達は(因子注入)を試す為、新しい結界を近くに創り上げて――その中に入った。


「それで、いきなり試すことにしたんだが……俺、(因子注入)の使い方知らないぞ

『マスターが発動の意思を籠めて、(因子注入)と言えば良いと思うよ』

「そんな物だろうか……"因子注入"!」


 俺がそう言うと、頭の中に(因子注入)の詳細を際に記されていた因子のリストが浮かんできた(UIで表示されないのは、俺の今の状況的に本来ならUIが使えないことを察してくれたからだろうか……こういう時、UIで標示するのが普通だもんな)。


「……頭の中にどの因子を使うかの選択肢が出てきた」

『へぇ……ならマスターの前の種族でもある【天魔】を選んでみてよ』

「了解っと」


 俺は早速天魔因子を注入する為、頭の中で選択の意思を籠める。すると今度は、因子をどこまで注入するかを聞かれた気がした。
 イメージによると、注入した因子の割合によって、使える種族スキルが増減したり身体的特徴が発現したりするらしい。


「――らしいんだが、どうする?」

『う~ん、とりあえず1割で良いと思うよ』

「1割か、やってみる」


 早速1割を注入する意思を籠める。
 すると、頭の中に言葉の羅列が感じ取れた――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

天魔因子 1割のオーダーを確認

種族スキル(天魔魔法)の使用を許可

因子を注入します――

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 突然、体に熱いナニカが注ぎ込まれたような感覚が体を襲う。痛くは無いし、辛くも無い。だけど体が温まっていく感覚。
 ……そういえば、確かティンスが[スキル共有]をした時にそんな感覚を感じたと言っていたな。それと似たような物かな。
 そんなことを考えていると、体が温まる感覚が終わっていた。


『それで、どうなったんだいマスター?』

「一応(天魔魔法)が使えるようになったらしいんだが……グーから見た感じ、さっきと何か変化あるか?」

『……見た目にはあまり変化は無いよ。だけど、体内の魔力の流れが少し変わったかな?』


 良く分からないが、きっとそれは(天魔魔法)を使えるようになったと言うことだろう。

 ――とりあえず試せば分かることか。

 俺は右手を前に翳して(天魔魔法)の魔法を詠唱して発動する――


「……■■■"フィンドボール"」


 すると今までも使っていた(天魔魔法)が無事に発動した……のだが――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(適応)が発動されました

(天魔魔法)の定着化を実行します

……(天魔魔法)の復元に成功しました

過去の経験に、種族【天魔】を確認

経験よりスキルの復元を試みます

……失敗しました 天魔因子の注入量を増やし、再実行します

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……カハッ」

『……!メルス、大丈夫?!』

『どうしたんだい、マスター?!』


 頭の中で(適応)が発動して、(天魔魔法)が通常時でも使用可能になったのを認識させられたのだが、(適応)は他の【天魔】の種族スキルも復元させたかったらしいの……が、今の俺の天魔因子の量ではそれが難しかったらしく、強制的に注入する因子の量を増やしてスキルを復元を試みているみたいだ。
 だが、突然注入された俺は先程の何倍もの熱さに見舞われるのだから堪ったもんじゃ無い。突然息ができなくなるぐらいの苦しさに襲われる。
 息ができなくなった俺は、頭の中で働く(適応)に色々と言いたいことがあるな~と考えながら意識を失って逝った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



因子量を3割に増加

……(天魔眼)の復元に成功しました




因子量を5割に増加

……(天魔翼生成)の復元に成功しました




因子量を7割に増加

……(思われし者)の復元に成功しました






因子量を10割に増加

……(一途な心)の復元に成功しました


~ERROR~

メルスの身体的異常を確認

(適応)を発動します

……成功しました

(改変耐性)(物理耐性)(熱変動耐性)を習得しました

また、メルスよりオーダーを確認

オーダーを受託 実行に移します――

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 気が付くと二人が心配そうな目でこちらを見ていた。


『メルス……大丈夫?』

『マスター、体に異常はない?』

「あぁ、特には」

《メルス様がかつて所持していた(異常無効)の復元にも成功しましたので、僭越ながら(改変耐性)(物理耐性)(熱変動耐性)の3つをそちらに統合させていただきました。それによってメルス様の(因子注入)によるこの反応もある程度中和されたかと思われます》

「そうか、ありがt……え?」

『……どうしたの?』

『どうかしたのかい?』


 二人が俺を不思議そうに見てくる。前にもこんなこと無かったか? ……念の為だ――

(「一応聞くが、誰だ?」)

《わたしは、メルス様のオーダーにより創られた[不明]の意思です》

「……またかーーーー!!」


 こんな変なことを叫んでしまった俺を、どうか責めないでくれ。……なんでそ~なるの!


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