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偽善者と荒れ狂う喜劇 四月目
04-46 撲滅イベント その24
しおりを挟む「これで準備良しっと……我ながら、かなりデザインに凝ったなぁ」
すでに“時空加速”で外界よりも長く活動できる結界内、途絶されたこの空間に俺は霧魔法を使った。
──“淫夢乃霧”。
名前から察しがつくであろうこの魔法、本来は催淫や発情効果を発揮する。
しかし祈念者にはR18制限などがある関係で、体を思うように動かせないだけだ。
「だけど、制限を強制的に解除できるなら話は別。俺はその資格を持っているし、糸伝いに解除されているお前も同じなわけだ」
「…………」
「もうダメか。まあ、今は気絶してもらっていた方が楽でいいや」
解体スキルによるスプラッタな倫理コードの強制解除は、周囲の者にも影響する。
その仕組みを応用し、少女(元少年)にも規制解除を施した。
……要するに俺は、この世界で工口いことができるわけだ。
心も体もサクランボな俺なので、少女はもちろん他の女にも手を出す気はないぞ!
少女は自分がこれまでに感じたことのない感覚に、脳が耐え切れずに気絶した。
糸を通じてその戸惑いが伝わってきたし、たぶん間違いないだろう。
「──“子守眠唄”、“睡眠誘導”」
魔曲家の職業スキルで状態異常としての睡眠状態に落としやすくし、呪与魔法でサクッと眠らせる。
先ほどの霧ですでに、少女の体は無抵抗な状態である。
今回のスキルと魔法の組み合わせで、さらに意識を深い眠りに沈めた。
あとはもう、仕上げだけだ。
力場支配で周りを逐一チェックし、高速思考スキルと並列思考、並列行動スキルで処理能力を高めておく。
「そして──“感帯看破”、“弱点洞観”」
二つの意味で、少女の弱い所を見抜くスキルを使用する。
すると、体の所々に桃色と青色のマーカーが浮かび上がった。
……それが意味することは、まあ考えないでおこう。
「──“感覚鋭敏”、“感覚愚鈍”」
感覚を研ぎ澄ます魔法と、感覚を鈍らせる魔法を同時に使う。
高めるのは皮膚の触覚、落とすのはそれ以外すべての五感である。
「──“弱点追随”、“視界剥奪”」
先ほど視た弱点への成果を上げる魔法と、視界を奪う魔法を施す。
バフやデバフも使いよう、やりようによっては……こんなことだってできるのだ。
「さてさて、あとは糸を体の部分ごとにしっかり刺して……鎧の消え残りが邪魔だな。仕方ない、その部分は避けておくか」
首筋に差し込んでいた糸はそのままに、新しく弱点の部分に糸をつけていく。
一部分はさせなかったが……その大半が桃色の部分だし、今回は良しとした。
その結果、なんだかビキニアーマーみたいな格好になったんだが……まあ、思考は物凄く平静なので問題ないだろう。
「それじゃあスタート──『電気周波』」
オリジナル魔法『電気周波』。
雷魔法と振動魔法を組み合わせ、発動者に指定した電気周波を発生させるというもの。
……暇な学生とは恐ろしいもので、リラックスについて調べていたことがある。
その際、特定の周波数──θ数が、特に効果的だと知ったのだ。
「α波のより深い版がθ波、その状態は記憶と学習に適した脳波となる……まあ、それで上手くいくかどうかは微妙だけどな」
魔法みたいに効果がはっきりしているわけではなく、あくまでにわか知識を参考にして考えた素人アイデアである。
だがまあ、失敗したら失敗したで、それもまたいいデータが取れたということで。
とりあえず……マッサージ、始めるとしますか。
◆ □ ◆ □ ◆
青い部分は少女にとっての弱点、桃色の部分は……うん、そういう意味での弱点だ。
精密動作スキルの恩恵で、適度な力加減でそれらのポイントに触れていく。
少女はそのたびに、体をピクピクッと反応している。
「……なるほど。男として敏感な部分は、あくまで反射的な反応だな。逆に女として敏感な部分は、感覚的な反応になる。だからそれらの部分に違和感があるし、時間が経つにつれて反応の仕方にも変化が生じるわけか」
少女も始めは男らしい反応をしていた。
目は殺気に満ちていたし、歯軋りや唸り声などいろいろと抵抗していたんだが……それも時の経過によって、変化していく。
今では少女の主な反応といえば、蕩けな眼でぼんやりと俺を見るぐらい。
口からは時折淫靡な吐息が漏れ出し、股をもじもじとさせようとしたりする。
「…………それ以上に、俺自身の変化が気になるな。俺って、ここまで自制心があるような人間だったっけ?」
健全な学生なので、そりゃあ保健体育以上の知見を持っている。
知識ではなく知見……うん、実用しているわけだからな。
そんな凡人が今の少女を見れば、何かしら催すことは当たり前。
理性のスイッチが瞬時に切れ、妄想だけでは耐えられない……はずなんだがな。
「【忍耐】、【純潔】があるし……これが原因なのか? これまで【色欲】を使い続けていたけど、そういえば特別感情が高ぶったことはないな」
イベントが始まる前、フェニと話したときはずいぶんとやらかしていたはずだが。
あれから[ログ]を基に眷族たちに調べてもらったが、あの現象は偶然では無かった。
ある程度感情が高ぶると、アレが発生するらしいが……条件があるらしい。
そしてどうやら、少女の痴態ではその条件は満たされないようだ……良かったよ。
「っ……!!」
「またか。あとで掃除が必要に……ああ、魔法があったな。生活魔法って、本当に便利な魔法だな」
少女を邪な目で見るよりも、魔法の素晴らしさに興味が行っている当たり、男として今の俺は死んでいるかもしれない。
「しかしまあ、もう俺がやる必要とかも無い気がしてきたな。全自動……は俺のプライドが許さないにしても、また少女自体にやらせればいいか──『偽想世界』」
もう一度、条件設定を変更して少女を夢の世界に誘う。
定期的にツボを刺激しておけば、勝手に満足するだろうし……ちょうどいい。
「そうだ、指輪を作ろうか。レミルの分……喜んでくれるだろうか」
目の前で悶える少女を放置し、別の女のことを考える。
非常に下衆な男だと思われそうだな……けど、周りに誰もいないので実行します。
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