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偽善者と眷属誕生 三月目

03-14 眷族特訓 その07

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 リョクがイケメンになっていた……なんということだ、裏切られた気分である。

 しかし、リョクの忠誠心に満ちたあの瞳で見られると……そういった信頼などをせずに生きてきた俺には、ちょっと罪悪感がな。

 リョクがああなったのも、そもそも偽善を行った俺が根本的な原因である。
 なのにイケメン=有罪ギルティという地球の理を持ち込むのは、なんというか……ズルいだろ。

「まあ、モブに案内されるよりは、イケメンに案内された方が二人も嬉しいだろう。モブはモブらしく、アイテムショップの店員の真似事でもしておくとするさ」

 先ほどから連発している“時空転移テレポート”を使い、第二世界『修練場』へ来ている。

 ちなみに二人の前では魔法陣っぽいのがを描いていたが、特に意味の無い光魔法で演出いていたものだぞ。

「にしても、まさかオブリが見抜くとはな。今日ログインしたばっかりの新人に、そこまでされるなんて誰が思うんだよ」

 まったく、理不尽にもほどがある!
 ……どこからかテメェが言うな! というツッコミが飛びそうな発言な気もするが、実際俺以上におかしいのだから仕方がない。

 上級鑑定+看破系スキル補正でも見抜けずにいる{感情}系スキル、条件達成で解放した能力名は分かるのだが、未解放のモノや説明文などはほとんど分かっていないわけだし。


 さて、そんなスキルに掛けることでレベルがかなり上がっている俺の隠蔽スキル。
 正直、見破られることなんてないんだろうなぁ……なんて高をくくった結果がこれだ。

 オブリは自分の上級鑑定に加え、看破スキルを共有することで隠蔽を突破した。

 そのあと調べて分かったのだが……妖精には妖精眼という種族固有の性質があり、鑑定や看破などの暴く能力に補正が入るらしい。

「そんな補正も受けた暴く力によって、隠す力はその神秘のベールを剥がされた……みたいな感じか? やれやれ、オブリ自身にも何かしら視る才能があったのかもな」

 オブリは周りを視る傾向がある。
 俺やティンス、そしてリーンの者たちを観察したうえで何かを理解していた。

 まだ幼いというのに……あの笑顔はどういう気持ちで浮かべているんだか。

「──なんてフラグっぽいことはさておき、さっさと作っていこうか!」

 オブリの事情? いや、知らんがな。
 俺は偽善者で、オブリは眷属──どのような事情があろうと、多少の偽善は切り捨ててでも救うべき対象だ。

 俺は□リコンじゃないが……□リコンではないが、少なくとも真摯に願う少女の想いを踏み躙るような奴は滅んで良いと思う。

 そして今必要なのは、手に入れた力に合うだけの武装──つまり生産である。

「弓と剣か……たしかに、スキル構成からすればこういうのがベストか。けどここはやっぱり、ロマンを言ってほしかったな」

 細かい要望などがあれば、ぜひとも神を冠する職業の持ち主として、なんでも叶える所存だったのだが……やはり女の子にそういうことを期待してはいけないようだ。

 無難に伝えられた武器種。
 シンプルすぎるが故に、まったくと言っていいほどに発想の種が生まれない。

 ……もちろん、だからこそという発想の転換もあるわけだが。

「何をしても良いわけだ。ティンスの方は少し分かってくれているみたいだし、オブリの方もティンスが説明してくれるか」

 多少のアイデア拝借ぐらい、きっと心の広い著作権様はお許しになるだろう。

 というか、そもそも完コピする方が難易度高いわけで……未知のエネルギーとかどうすればそっくりそのまま用意できるんだよ。

「──完全コピはともかく、再現はできちゃう辺りがチートなんだよな。なんで構造が頭の中で組み上がるんだか」

 前に矛の作り方が分かったように、ゆっくりじっくり考えることで存在しない物語の武装の作り方まで頭にダウンロードされる。

 某神殺しの槍やら騎士王の剣……果ては、巨大な戦艦まで造れる気がするよ。

「普通はスキルの数にも制限を入れているだろうから、扱えるようにする補助をしておく必要があるか? 共有スキルはいちおういつでも変えられるようにしておくとして、対応範囲の武装にしておくとしよう」

 装備を可変式にしておくと、変更した後の武器種に対応したスキルを持たずとも振るうことだけは可能となる。

 あとは武術スキルを共有して、補正込みの動きを自分で再現できるようにすればいい。

「あとはリョクの装備か……いい固有スキルが習得できたみたいだし、それに合わせた装備の方がいいか?」

 その名も──【忠義】。
 まったく心当たりのない俺という忠義を果たしたいと思う存在を持ち、強く想うことで発現したスキル……だと思う。

 固有スキルを持っているので、[ヘルプ]機能から固有スキルについて調べられる。
 その情報によると、基本的に【固有】スキルは資質よりも意思で発現するらしい。

「俺、そこまで忠義に篤い臣下を得られるようなことしたっけ? なんとなくで偽善をして、それとなく創った世界に押し込んだだけな気がするんだが……」

 後半はちゃんと文章にしてくれれば、それなりに偉業っぽく見えるな。
 けど、どうにも『作った世界(笑)』とかそんな変換がされそうな気がする。

「さて、それじゃあ始めるとするか──!」

 リョクの武装はあんまり決まらなかったけど……造っている内に、勝手に頭に良い考えが浮かぶことを祈ろう。


===============================

 リョクのステータス
 自由民のスキルは一括表示となります

---------------------------------------------------------
ステータス
名前:リョク(♂)
種族:【鬼人王Lv1】
職業:(呪剣士Lv46)
      経歴
(魔子鬼王→魔中鬼王→大鬼王→)
(戦士→剣士→大剣士→)

HP:1550
MP:1350
AP:1400

ATK:225
VIT:200
AGI:100
DEX:80
LUC:20

スキル
(大剣術)(呪剣術)(気闘法)(投擲術)(体幹)
(剛力)(魔鬼語)(人族語)(指導)(鬼気)
(剣の心得)(大剣の心得)(呪剣の心得)
(人化)(鬼化)(鬼人化)(金剛)(熱変動耐性)
(遠泳)(登攀)(環境耐性)(高速治癒)【忠義】

祝福
(眷軍強化)
---------------------------------------------------------

 リョクは第一世界の厳しい環境で鍛えていたため、(遠泳)や(登攀)、(環境耐性)などを得ております
 それらがすべて偽りなき忠誠心を基に動いていたため、【忠義】を獲得しました

 ……もっとも、獲得するための前提条件などは別の理由がございますが

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