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偽善者と時を駆ける老若男女 二月目

02-11 武具創造【謙譲】

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「称号確認……うわっ、えげつない!」

 創造が半分を超えた記念として、久しぶりに称号を調べてみることに……。
 こういう機会を無理にでも作らないと、俺という人間はなかなかやらない男なんだ。

 ただ、俺としては引き籠もって創造ばっかりの日々しか思い浮かばないわけで……開いてみたらビックリということに──

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戦闘系
『不破の城塞』:結界の耐久値上昇
『戦略級魔法師』:魔法の範囲・威力向上

生産系
『生産を極めし者』:オリジナル生産の成功率向上・生産品質B以上確定

特殊系
『最速神器獲得者』:神器適正向上
『最速祝福神授者』:祝福入手率向上
『GMの友人』:GMとの親密度が向上しやすくなる……と思います(byレイ)
『神様見習い』:神系スキル一部開放
---------------------------------------------------------

「そこまでやってないと思うんだがな……嗚呼、俺は無実だ」

 最初のはスーの実験、次のも聖・魔武具のどれかが該当がしたのだろう。
 生産と見習いはログに載っていたから分かるし、神器や祝福も経緯は理解している。
 友人は……レイさん、本当にありがとうございます。

「一つ一つ整頓してみたら、そこまであくどいことはしてないな。うん、無罪だ無罪」

 大切なのは『GMの友人』だけ、あとの称号なんて無視だ無視ッ!





 称号はそれで解決だが、創造はまだもう少しやっていかなければならない。
 どうにか思い出した称号確認と、創造に因果関係はまったく存在しないのだから。

「籠手に(因果改変)なんて、大層なスキルがあるのに意味ないじゃないか」

 結局、外に出て魔物を殴ってみたのだが、痛覚まで反転して快楽に変わってしまっていて……なんだかM製造機みたいな仕様だと俺の中で纏められてしまう。
 魔力を多く使い、反転させるものも自在に選択できるようになるまでは封印である。

「これまで、俺の理想を元にアイテムを創造してきたわけだが──色物が多い!」

 布団だったり本だったり……布団の辺りでツッコまれそうだが、ここらはまだ常時使えるので置いておこう。
 だが最近のヤツ……回復させる弓やMを生みだす籠手など使いどころを選んでしまう。

「だから今回は、そういったことのない武具いしよう……そう、思っていたんだがな」

 事実は小説より奇なり。
 不思議なことだ、そう覚悟して創造をしていたはずなんだったんだ。

 しかし俺の眼前に、白い光と共に生みだされたアイテムが存在する。
 ゆっくりと手を伸ばし、握ったそれを──首に取り付けた。

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魔遜の首巻 製作者:メルス

聖武具:【謙譲】 自己進化型
RANK:X 耐久値:∞

今代の【譲渡】所持者が創りだした首巻
誰に捕らえられることもなく、自由という概念にのみ枷を施される
あらゆる魔力を反射する力を持つが、所持者が受け入れるものは反射させないことも可能
契約に関する事柄も、相手の了承を得ずに一方的かつ不利益無しで解除可能
また、この首巻は意思を宿しており、攻撃や主以外の者を拒絶する

装備スキル
(自我ノ芽)(解放魔法)(反射魔法)(魔力反射)
(契約解放)(無条破棄)(解放成長)(?)……
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 首巻き、と言っても要するにチョーカーのことだ。
 シンプルなデザインで何か特別な装飾がされているわけでもない、白いだけの首輪。
 だがその能力は破格のもので、あらゆる柵から人々を解き放つ。

「【謙譲】って、周りを立てなきゃできないことだし……つまり、決して誰かの下で傅いちゃ駄目なわけだ」

 従わされるもっともなイメージと言えば、やはり奴隷だろう。
 それを踏襲した形で、対となる力を宿した代物──それがこの聖具である。

「試してないけど、隷属系の王道展開も無効化できるはずだ。ふっふっふ、俺は決してMではないのだよ」

 リョクを従魔にしている奴の台詞ではないのだろうが、それでも【傲慢】で【強欲】な俺は自由でいたい。
 偽善者はナニカに囚われたくないし、何よりリスクという単語が嫌いなのだ。

「そして、(契約解放)! 騙されて契約なんて主人公の二の足は踏まないんだ!」

 読んだり見ていて思わないか? いや、どうしてそんなのに気づかないんだよって。
 神様がそう導いたのかもしれないが、見ている側からすれば疑問が浮かぶだろ。

 だがこのスキルがあれば、どんなに無理がある話でもだいたいは帳消しにできる。
 不利益があれば(無条破棄)もいっしょに手伝ってくれるし、ある意味責任を負わないクソ野郎の完成だな(ヤケクソ)。

「どうやって試そうかな……魔法の方はすぐに試せるけど、さすがに契約を試させるわけにはいかないし」

 あーあ、どこかに困っている奴隷とかいないかなー。

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