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偽善者と始まり 一月目
01-18 能力検証
しおりを挟む「……これで、最後にしておくか」
突然のレベリングは、【初心者】に記されていた条件を満たすためであった。
カンストは別にしても、前提条件を先に満たしておきたかったんだよ。
再び『始まりの町』へ移動し、転職をしてから草原に戻ってくる。
ここ何日か同じ場所に移動するため、コソコソと移動するのも慣れてきた。
「職業も良いのが増えてきたな……。基本職じゃないのも、ようやく就けるし」
基本職は一定以上レベルを上げると、通常進化がリストに現れる。
また、いくつかの条件を満たすことで派生職業が出るようだ。
その一つがカンストだったので、旅人にも一つ派生があったのだろう。
絞り込みを選択すると適職診断機能っぽいものがあり、それを使用してみるといい職業が見つけられた。
まあ、こんな感じのものだ――
***********************************************************
転職 [絞り込み]
召喚士・魔戦士・魔法士・退魔士
***********************************************************
魔法戦士は戦士と魔法使い、魔法士は僧侶と魔法使い、退魔士は闘士と僧侶のレベルを上げた結果出現した職業。
まあそれらも気になるのだが……今、俺の心が一番求めているのは――召喚士だ。
召喚士、それが俺の予想通りの職業ならば使い魔を作ることができる。
つまり、その魔物を使って育成ゲーが可能ということだ。
昔から育成ゲーは好きだったんだ……ホ°ケモンシリーズを結構やっていたからな。
「召喚士さんは、少々難しいけどな」
使い魔を操り後方で待機するのではなく、自らも前線に出て狂戦士のように戦う――いわゆる召喚士(物理)もやってみたいとは考えているが、俺には技術がない。
無難に一般ピーポーらしい、召喚士への進路が確定したな。
「そして、ノリに任せてしまったよ……」
草原で佇む今の俺は、すでに転職を済ませているのだ。
後悔もしてないし反省もしてない、俺はやりたいようにやっただけなのだから。
そのステータスがこちら――
---------------------------------------------------------
ステータス
名前:メルス (男)
種族:【天魔】Lv18
職業:【初心者】Lv18・錬金士Lv1・召喚士Lv1・盗賊Lv1
HP:720
MP:700→800
AP:720
ATK:90<+16>
VIT:90→100<+18>
AGI:90→95<+17>
DEX:90→95<+17>
LUC:98<+17>
BP:0
<ステータス向上補正>
スキルリスト
特殊 NEW
(盗賊の心得Lv1)(召喚の心得Lv1)
SP:99
---------------------------------------------------------
召喚士に就いて振られた能力値は20、基本職の二倍である。
召喚士の定番『召喚魔法』は(召喚の心得)の中に内包されていた。
……(召喚魔法)単体で習得する機会、それはあるのだろうか。
「盗賊らしいレベリングってなんだろう? こっそりやるぐらいだけど……まあ、いちおうやってみるか」
今日やることは応用編、自分に何ができるかどうかを試していく。
これまでに手に入れたスキルは、どこまで俺の力となるのか。
そしてそれが、目的を叶えるために有益なものなのか。
それは今回、調べてみないと分からない。
◆ □ ◆ □ ◆
この日、プレイヤーが観たのは今まで以上に酷く惨い暴虐であった。
いつものように、顔を隠したプレイヤーがふらりと現れる。
……どれだけ(鑑定)を行おうと無効化されるため、(鑑定)の熟練度上げのために集まる者が最近は増えていることは置いておこう。
最初は武器、次に魔法。
現実ならば交わることのない二つの技術を用いて、そのプレイヤーは魔物たちへ壮絶な惨劇を行ってきた。
(今日はいったい、どうやって戦うんだ?)
その場に集まった者が一同にそう思う。
――今日は武器か? それとも魔法か? もしかしたら、両方とも使うかもしれない!
そんなありふれた回答は、そのプレイヤーの行動によって一蹴されることになる。
プチュッ
一瞬であった。
その者はその場から一歩も動いていなかった……そのはずなのに、周囲に居た魔物たちは体を叩き潰される音を立て、上から押されて死んで逝った。
ガブッ
一瞬であった。
その者はその場から一歩も動いていなかった……そのはずなのに、周囲に居た魔物たちは体を牙に抉られたような跡を刻まれ、死んで逝った。
プレイヤーたちが特に驚いたのは、この二つである。
何もしていないことは、共に居た感知系のプレイヤーによって判明している。
それなのに、実際に魔物は死に絶えてその場に死体を残している。
(何をしたんだ、あのプレイヤーは!)
その光景を観ていたプレイヤーたちがそう思い悩んでいる間も、その者は行動を起こしていた。
魔物をわざと怒らせ、触れ、攻撃する……そういった検証のような行動を、何度も何度も行っていた。
そしてしばらくして、UIを操作してからため息を吐き、その者はこの場から去った。
それを追いかけようとした者もいたが、一瞬で消えてしまいそれも叶わなった。
◆ □ ◆ □ ◆
「ふぅ……」
もうショックも受け慣れたんで、どんどんステータスを見ましょうか――
---------------------------------------------------------
ステータス
名前:メルス (男)
種族:【天魔】Lv20
職業:【初心者】Lv20・錬金士Lv1・召喚士Lv15・盗賊Lv30 MAX
HP:720→740
MP:800
AP:720→740
ATK:90→98
VIT:100
AGI:95→98
DEX:95→98
LUC:98
BP:0→18→0
スキルリスト
武術
【武芸百般Lv1】
(気闘術Lv30)(魔闘術Lv30)(投擲術Lv30)
(大剣術Lv30)(短剣術Lv30)(大盾術Lv30)
(小盾術Lv30)(両盾術Lv30)
魔法
【統属魔法Lv1】
(恢復魔法Lv30)(暴風魔法Lv30)(煌魔法Lv30)
(冥魔法Lv30)(時魔法Lv30)(空間魔法Lv30)
(業火魔法Lv30)(付与魔法Lv30)(呪魔法Lv30)
(爆風魔法Lv1)(泥魔法Lv1)(木魔法Lv1)
(天魔魔法Lv20)
身体
(舞空Lv15)(体幹Lv60)(身体強化Lv60)
(魔力支配Lv20)(ステータス上昇補正Lv20)
(冥想Lv40)(戦線離脱Lv53)(回避Lv25)
(異常激減Lv15)(精密操作Lv45)(天魔眼Lv20)
(天魔翼生成Lv20)
技能
(錬金Lv2)(調合Lv1)(中級採取Lv1)
(言語理解Lv50)(気配感知Lv30)(二刀流Lv45)
(無音詠唱Lv20)(省略詠唱Lv20)
NEW
(中級鑑定Lv50)→(上級鑑定Lv1:16[20-4])
(中級隠蔽Lv50)→(上級隠蔽Lv1:16[20-4])
特殊
(悪魔キラーLv1)(天使キラーLv1)
(攻撃無効Lv-)(竜殺しLv1)(大物喰らいLv1)
(思われし者Lv20)(一途な心Lv-)
(全武術適正・微Lv20)(全魔法適正・微Lv20)
(全身体適正・微Lv20)(全技能適正・微Lv20)
(錬金の心得Lv1)(召喚の心得Lv15){感情Lv5}
(初心者の可能性Lv-)
\(盗賊の心得Lv30)MAX
SP:121
---------------------------------------------------------
「{感情}だけで、18P入ったんですけど」
いろいろと検証して分かったことだが――シンプルに{感情}がチート過ぎる!
調べようにもノイズだらけでほとんど視えないし、視えている部分を隠そうとしてもなぜか隠れない。
四苦八苦していればLvが50になってカンスト、お蔭でスキルの中でもっとも早く上位スキルに進化しました。
{感情}は戦闘面でも比類なき(たくさんあるけど)力を発揮して見せる。
一部の能力はあまりにグロイシーンを齎したが、どうにか解放されている範囲の能力は調べることができた。
使えた能力の効果はこんな感じだ――
===============================
傲慢:格下との戦闘でステータス向上
憤怒:怒っている相手の数分ステータス向上
暴食:なんでも喰べれる(魔物や魔力)
怠惰:動かないだけでステータス向上
色欲:触れた相手を望んだ状態異常に
強欲:触れた相手のHPを奪える
嫉妬:格上との戦闘で相手のステータス減少
謙譲:身力値の譲渡(対象に身力値が必須)
慈愛:回復効果大幅上昇
節制:消費する身体力を大幅軽減
希望:精神に関する事象に補整が入る
純潔:放出するエネルギーの純化が可能
救恤:対象のデメリット回復速度向上
忍耐:あらゆる事象を軽減
正義:相手を洗脳
===============================
いろいろとやばい。
効果が重複するし……本当に俺一人で持ってていいのか悩む(駄目だと思うけど)。
しかもこれ、あくまでLv1のときに解放されていた能力である。
まだレベル5を超え、何かが解放されたように視えた。
上級となった(鑑定)で調べたら、新しい項目が見れるようになったので、また次の時に詳細を明かそう。
「……まあ、こうして急激な成長を遂げると思うことってあるよな」
初心者用の魔物とはいえ、瞬殺するこの能力値――
「今の俺って、どんだけプレイヤーたちとの差があるんだろう?」
それが分かるのは、まだ先のことだ。
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