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偽善者とお祭り騒ぎ 二十六月目

偽善者と夢現祭り二日目 その17

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 イベントエリア バザーフィールド


 二日目になると、こちらでも盛り上がる企画を用意してみた。
 バトルばかりでは飽きる者も居るし、一つの場所に人々を集中させないためだ。

 三日目にオークションがあるので、あまりお金を浪費する企画は止めておいた。
 ……本当はやりたかったのだが、さすがにクレームが入るとのことらしい。


《赤色の世界の奴らも、楽しめているか?》

「ああ、何度も巡って確認している。生息地帯などで問い合わせが多いようだが、そこは[ロウシャジャル]が降臨してくれるから、過度なことはできないでいるようだ」

《そういう目的もあったからな。ある意味、赤色の世界の奴らは人種が違う。だから、アイツの行動規定に含められた。素材の方は、とりあえず迷宮で出す予定だから、それを宣伝してくれればいいと言ってくれ》


 バザーフィールドを巡るのは、赤色の民たちを統べる女王──ウィー。
 特に赤色の民が来ているのがここなので、彼女もまたここに居るのだ。

 バザーフィールドにおいて、通常販売の品の中でもっとも注目されている素材は、赤色の世界で取ることのできる素材である。

 調べたところ、ごく一部はAFO世界でも取ることのできる素材だった。
 しかしそれはとても貴重で、今回赤色の民たちはがっぽり儲けている。

 AFO世界に無い素材なんかは、よりいっそう希少価値があるわけで。
 彼らにとってはありふれた物でも、それらは高値で売れました。


「そういえばメルス、貴公は何かここで品を出しているのか? 何やらルーカスと話をしていたらしいが……」

《ん? まあ、いろいろとな。赤色の世界の品はたしかにこっちの世界の人にとって貴重だが、見本が無いといけないし。その販売の方を、任せておいたんだ》


 ルーカスさんはかつて、『狂商人』と呼ばれていたほどの辣腕の持ち主だ。
 事情があるとはいえ、その狂気によって失われた莫大な財を取り戻した経験があった。

 俺は彼に頼んで、自分で加工したアイテムの数々を販売してもらっている。
 オークションでもイケると言われたが、あくまで販売促進用なので売ってもらった。


《基本的に赤色の世界の品は、火属性に関わる補正が付くよな。威力向上、耐性強化、他にもいろんな効果がって売れているって連絡が入ってたっけ?》

「火が世界の理なのだから、当然だろう。すべてが揃うがゆえに偏らないこの世界とは、当然変化も生じる」


 ……生産職が聞いたら垂涎モノの情報なのだが、赤色の世界で生産行動をすると普通よりも火属性に関する補正が付きやすい。

 俺は同じことを夢現空間でやることができるが、AFO世界に住まう者たちは、そのようなことは知らないし、そもそも行くことができないわけで。


《だからこそ、赤色の世界の価値を認めないといけない。彼らから情報を絞り出し、どうにかしようと考えているわけだ……悪いな、揉め事の原因、一部は俺ってこと》

「ふっ……放蕩王に悩まされるのは、いつものことだ。彼らもそういったリスクがあると知ったうえで、この祭り騒ぎを体験したいと参加している。過度な問題には横槍を入れるが、基本的には傍観をしているぞ」

《……赤色の世界の王様は、心も広くて助かるな》

「そんな王を奴隷にしていたのは、世界のどこを探しても貴公だけだな」


 奴隷にしていたと言っても、したその日に解除したのでセーフだと主張したい。
 紅蓮都市、そしてあの世界に住まう人々を導く王であるウィー。

 彼女は眷属ではあるが、基本的には赤色の世界に関する事柄しか行わない。
 むしろ眷属たちのバックアップで、昔の紅蓮都市は維持されていたようなものだし。

 今では立派に、世界に住まう人々のみで生きていられるようになっている。
 ……一部異世界人もいっしょに管理をしているが、細かいことは気にしない。


「貴公はいったい、今何をしている?」

《フーラとフーリといっしょに、コロシアムで修行だな。けど、そろそろ引き上げるつもりだ。子供にはもう寝る時間だし……最終日は、誰も彼もが動くはずだ》

「ふむ……この地ではたしか、オークションだったな。警護などはどうするのだ?」

《当然、強奪を狙う奴もいるだろうからな。多少は準備するつもりだが……あくまでも、軽くだな》


 ただの泥棒ならまだしも、怪盗や義賊なども含まれているだろう。
 ……一番最後の奴は、どこに義が生まれるのか微妙だけど、来るに違いない。


「私も混ざった方が良いか?」

《ウィー次第だな。居なくても計画は進めるが、居た方が来る者たちも相応の警戒心を抱いてくれる。どちらでも、いいと思うぞ》

「……貴公は、どう思う?」

《俺か? うーん、イベントとしては午前中がコロシアム、午後がオークションで二大イベントだからな。まあ、一つだけ、俺の主張があるとすれば──ウィーといっしょに楽しめた方が、俺は嬉しいってことかな?》


 それからすぐに、ウィーは自分の考えを俺に伝えてきた。
 二日目も間もなく終わり、夕日が沈みよるとなる……明日も忙しくなるんだろうな。


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